加齢とともに肌のハリやみずみずしさは消えてしまうものです。毛穴の開きや詰まりなどで毛穴が目立ってしまうこともあるでしょう。そのような肌の悩みを救ってくれるがレチノールです。
レチノールにはどのような働きがあるのか、レチノールの効果について解説します。また、レチノール化粧品の選び方やレチノールの効果を高めるスキンケアのポイント、注意点についてもお伝えします。
レチノールとはビタミンAの一種で美肌効果が期待できる
レチノールとはビタミンAの一種です。ビタミンAと言えば、美肌づくりには欠かせない成分であることはご存知の方も多いでしょう。そのようなビタミンAの一つであるレチノールは、美肌に関するさまざまな効果が期待できます。
ビタミンAは体内でレチノールに変わり効果を発揮する
レチノールはビタミンAが体内に入ってから働きやすいカタチに変化したものです。
ビタミンAを摂取することで、次のような効果が期待できます。
- 皮膚や粘膜の健康を守る
- 免疫機能をアップする
- 目の機能を高める
ビタミンAは体内で作られないため、食事から摂取する必要があります。肌への直接的な効果を期待する場合は、レチノールを配合した化粧品を使用します。
レチノールには種類がある
体内で効果を発揮できる「活性型」になるレチノールには、レチナール、トレチノイン(レチノイン酸)といった種類がある、それぞれが形を変えていろいろな働きをします。
レチノールには、レチナール、トレチノイン(レチノイン酸)の大きな違いは、肌への効果の早さと強さです。レチナールはレチノールより変換される段階が少ないため、効果もその分早いです。
トレチノインはシミやニキビの治療薬として使用されるほどで、化粧品や医薬部外品には使用が認められていません。処方には医師の診察が必要です。
一般的に化粧品に使用されているのはレチノールです。
レチノールには、シワやたるみ、シミやくすみ、ニキビ予防や改善など美肌に関するさまざまな効果が期待できます。
レチノールはコラーゲンの合成でハリのある肌を取り戻しシワを改善
レチノールには肌のハリや弾力を取り戻す効果が期待できます。レチノールによって、コラーゲンとエラスチン、ヒアルロン酸の生成が促されるからです。
肌の弾力やハリを与えるコラーゲン
コラーゲンは皮膚や骨などさまざまな組織に存在するタンパク質です。
コラーゲンには関節の働きを高めたり、健康な筋肉を作ったりする働きのほか、肌に弾力やうるおいをもたらす働きがあります。皮膚の内部の真皮はコラーゲンで構成され、肌のハリや弾力、うるおいを与えています。
エラスチンは肌の伸縮性を高める
エラスチンは伸縮性が高く、弾力の強さが特徴の成分で、コラーゲンを束ねる働きがあります。しなやかで弾力のある肌には、エラスチンが必要なのです。
細かく網目状に並んだコラーゲンをエラスチンがしっかり支えている状態がキメが整っている状態です。しかし、コラーゲンやエラスチンが失われると、網目があらくなり、キメがあらい肌になります。
ヒアルロン酸は肌の水分を保持する成分
ヒアルロン酸は肌内部の水分を保持する成分です。優れた保水力があり、肌の水分を蓄える働きがあります。しかし、ヒアルロン酸は30代くらいから減少し、40代では赤ちゃんの頃と比べると半分になってしまいます。
ヒアルロン酸はコラーゲンとエラスチンの網目状の構造の間を埋め尽くすことで、肌の弾力を保ち、みずみずしく、プルプルの肌を保っているのです。
ヒアルロン酸は腕や足の関節にも存在し、関節の動きをサポートしています。加齢とともに関節が痛んだり、関節がスムーズに動かせなくなったりします。
コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸が減少するとシワができる
コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸は加齢とともに減少していきます。肌の弾力やハリに必要な成分が減り、肌のハリが保てなくなることでシワができやすくなるのです。
レチノールでコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成を促すことができれば、肌のハリや弾力、シワの予防につながります。
レチノールはターンオーバーを促しシミやくすみ予防
レチノールには肌の新陳代謝を促す働きがあり、シミやくすみを改善する効果が期待できます。
肌のターンオーバーが乱れるとシミやくすみができやすくなる
肌のターンオーバー(新陳代謝)は通常、28日間で生まれ変わります。
細胞が新しく生まれ変わることで生成されたメラニン色素も排出されます。
しかし、肌の奥まで傷がついたり、ターンオーバーに時間がかかったりすると、メラニン色素が肌に残り、シミやくすみの原因になるのです。
レチノールは肌のターンオーバーを促す働きがあるため、細胞もきちんと生まれ変わり、シミやくすみができにくくなります。
レチノールで肌の新陳代謝を促すことはさまざまな悩みの解消につながる
肌の新陳代謝が正常であることは、肌のさまざまな悩みの解消につながります。肌の新陳代謝は、古い角質が剥がれ落ち、新しい細胞が肌の表面に押し出される仕組みです。
ターンオーバーの周期が遅くなれば、古い角質が取り除かれず、肌は硬くなりカサカサしてしまいます。ただし、早すぎると肌細胞が成熟していないため、肌を守る保湿因子などの成分が作られていないため、水分保持力が低下し、乾燥肌や敏感肌になってしまうでしょう。
肌のターンオーバーを正常にすることで、シミやくすみだけでなく、肌の乾燥や毛穴トラブル、ニキビトラブルなども防ぐことができます。その方法の一つとして、レチノールは効果的と言われています。
レチノールには皮脂の分泌を抑えてニキビ予防や改善効果が期待できる
レチノールの効果の一つが、ニキビ予防や改善です。
レチノールは皮脂の分泌量を抑える作用がある
ニキビができる原因の一つが、皮脂の過剰な分泌です。特に古い角質が残り、毛穴がふさがった状態で皮脂が分泌されると、毛穴の中に蓄積されます。毛穴にはアクネ菌が存在し、皮脂をエサにして過剰に増えて炎症を起こすのです。
レチノールは皮脂の分泌を抑える働きがあり、アクネ菌が増殖するのを防いでくれるのです。また、レチノールには肌の新陳代謝を促す働きもあることから、古い角質を取り除き、毛穴詰まりを予防し皮脂が毛穴に詰まるのを防ぐ効果が期待できます。
レチノールの新陳代謝を促す働きでニキビ跡予防
レチノールの新陳代謝を促す働きは、ニキビ跡を防いだり、薄くしたりする効果も期待できます。
ニキビ跡はニキビができたときに雑菌が入って炎症を起こし、肌にダメージを与えたことや、肌のターンオーバーが乱れていることで、炎症で起こった赤みがそのままシミになってしまうことでニキビ跡が残ってしまうのです。
レチノールで新陳代謝を正常にできれば、ニキビ跡が薄くなることもあります。
レチノールはさまざまな毛穴トラブルの改善にも役立つ
毛穴トラブルには毛穴のたるみ、開き、黒ずみなどがありますが、レチノールにコラーゲンやエラスチンの生成を促す作用や新陳代謝を促す働きなどがあることで、さまざまな毛穴トラブルの予防や改善効果が期待できます。
毛穴トラブルには種類がある
毛穴トラブルには主に、毛穴のたるみ、開き、黒ずみ、詰まりがあります。
種類 |
原因 |
毛穴のたるみ |
肌がたるみ毛穴が目立つ状態。加齢や紫外線、乾燥などにより肌のハリや弾力が失われることで起こる |
毛穴の開き |
毛穴が開き穴が目立った状態。肌のたるみや乾燥のほか、皮脂が過剰に分泌されることや角栓の詰まりなどが原因 |
毛穴の黒ずみ |
毛穴が黒く見える状態。角栓が詰まり酸化した、もしくはメラニン色素が沈着した |
毛穴の詰まり |
皮脂が詰まり毛穴が開いて目立った状態。新陳代謝が乱れやメイク汚れ、皮脂などが肌の残り角栓が詰まってしまう |
毛穴トラブルに適した方法でケアをする必要がある
毛穴のトラブルは原因が異なることがあるのでそれぞれに適したケアが必要です。ハリや弾力が失われたことが原因であれば、コラーゲンやエラスチンの生成を促すことが必要で、皮脂の過剰な分泌が原因であれば皮脂を抑えるケアが必要です。
新陳代謝が乱れ、バリア機能が低下している場合は、肌の保湿し水分の蒸発を防ぐ必要があります。
レチノールには、肌のたるみやハリ、皮脂の過剰な分泌を抑える、新陳代謝を流すといった働きがあります。毛穴のさまざまなトラブルに、レチノールが一役買ってくれるでしょう。
レチノールには抗酸化作用があり肌老化を防いでくれる
酸化は肌を老化させ、シワやたるみを誘発してしまうものです。
レチノールには抗酸化作用があり、そのような肌老化を防ぐ働きがあります。
老化予防には抗酸化が重要
活性酸素が体内で過剰に増えると酸化といって、細胞が錆つき老化が進行してしまいます。
肌が酸化すれば、コラーゲンやエラスチンの生成が阻害され、シワやたるみにつながります。
活性酸素はメラニンの生成を促すため、新陳代謝が追い付いていかないと、シミができてしまうでしょう。
酸化は肌だけでなく、血管も老化させてしまいます。血管が老化し健康が損なわれると、血行が悪くなり肌への栄養も行き届かなくなり肌トラブルが起こりやすくなるのです。
体内には抗酸化作用があるのですが、加齢とともに働きが低下します。肌老化を防ぐためには、抗酸化が必要です。
レチノールで肌の酸化を防ぐ
抗酸化作用のあるレチノールは、活性酸素の働きを抑え、肌の酸化を防いでくれます。その結果、コラーゲンやエラスチンが損なわれず、肌の弾力やハリもキープできます。メラニン色素が過剰に増えるのを防ぎ、シミ対策も可能です。
抗酸化作用のある食品から摂取し体の中から対策をすることも重要
抗酸化は食品で体の中から酸化を防ぐことが重要です。抗酸化作用のある緑黄色野菜や果物、ナッツや植物油、またポリフェノールを含む食品(タマネギや大豆、そばやブルーベリー、緑茶など)を食事に取り入れましょう。
レチノール配合の化粧品を使う前や使う際のポイント
美肌のためにさまざまな効果が期待できるレチノールは、化粧品によく使われています。レチノールを配合した化粧品を使う際には注意したい点もあります。
レチノールは効果が期待できる反面肌への刺激となることがある
レチノールは効果が期待できる成分なのですが、その分肌に刺激を与えてしまうことがあります。
特に、肌が敏感な方や、敏感になっている状態のとき、また濃度の高いレチノールを使用したときなどは、「レチノイド反応」が起こることがあります。
レチノイド反応とはレチノイドを使用した際に、赤み、乾燥、皮むけなどの炎症が起こることです。
レチノイド反応は使い始めに起こることが多く、多くは一時的なもので自然と改善していきます。ただし、肌に合っていなかったり、濃度が高かったりすると症状が悪化することがあります。炎症がひどかったり、痛みが強かったりした場合はすぐに使用をやめ、皮膚科で診察をしてもらいましょう。
レチノールを初めて使う場合はパッチテストをする
レチノールを初めて使う場合は、パッチテストをしてから使うとよいでしょう。
パッチテストのやり方は次の通りです。
- 二の腕の内側など値立たない場所にレチノールを少量塗布する
- 30分後塗布した場所を確認し異常がなければさらに1~2日程度様子を見る
- 肌にトラブルがなければ使用する
もし、トラブル(赤みやかゆみ、炎症など)が生じた場合は、すぐに水で洗い流しましょう。
レチノールを使用した際は紫外線対策をする
レチノールを使用した際は紫外線対策をしましょう。特にレチノールを使用していると肌の新陳代謝が促されるため、古い角質が取り除かれて肌の表面が外部からの刺激を受けやすくなることがあります。
また、レチノールは紫外線に弱いので、紫外線対策をしないと効果が弱まる可能性があります。
紫外線は肌を黒くしたり、炎症を起こしたりするほか、シミやたるみ、乾燥などの原因になります。紫外線にはUVAとUVBがあり、UVAは窓ガラスを通過して肌に影響を与えるので注意が必要です。
外出する際は日傘をさす、日焼け止めを塗るなどして紫外線対策を忘れずに。すぐ近くのお店に行くだけだから、などと油断するのも禁物です。紫外線を少しでも浴びる場合は、必ず紫外線対策をしましょう。
また、レチノールは直射日光の当たる場所や高温となる場所に置いておくと、劣化してしまうことがあります。開封後は冷暗所、できれば冷蔵庫で保管するとよいでしょう。
レチノールを使う際は乾燥対策として保湿をしっかりする
レチノールは肌を乾燥させてしまうことがあるので、乾燥対策をしましょう。レチノール化粧品と一緒に保湿効果が期待できる化粧品を使うのがおすすめです。
- セラミド
- ヒアルロン酸
- コラーゲン
- ヘパリン類似物質
などの保湿成分が配合されたスキンケア用品を使いましょう。
保湿ケアをする際は、次のような点にも注意しましょう。
- お風呂上りや洗顔後はすぐにスキンケアをする
- 化粧水はこすらず肌になじませるように塗布する
- 美容液での保湿がおすすめ
お風呂上りや洗顔後は肌の水分が蒸発しやすい状態です。水分を逃さないためにも、すぐに化粧水や乳液、クリームなどでスキンケアをしましょう。
化粧水を塗布する際、こすったり、叩き込むように塗ったりすると、肌を傷めてしまう可能性があります。スキンケアはていねいに、肌をいたわりながら行うことが大切です。
保湿成分は美容液にしっかり配合されていることが多いものです。保湿のためのスキンケア用品としては、美容液を選ぶとよいでしょう。
肌が敏感になっているときは使用を控える
肌が敏感になっているときは、肌荒れや炎症を起こしやすいので、使用を控えることも必要です。
- 生理前
- 日焼けをした後
- 季節の変わり目
- 睡眠不足や疲労などで化粧品が合わないと感じたとき
- 肌に合わない化粧品を使ったとき
上記のような状態でレチノール化粧品を使っても、効果が出ないばかりか肌に負担をかけてしまう可能性があります。
生理前はホルモンバランスが乱れやすいものです。特にプロゲステロンには皮脂の分泌を増やす作用があるため、プロゲステロンが増える生理前は肌トラブルが起こりやすいので注意しましょう。
日焼け後は肌が刺激に弱くなっている状態です。
乾燥しやすいので水分補給と保湿をしっかり行い、肌に刺激のあるスキンケアは控えることです。
季節の変わり目は気温や湿度、紫外線の量などが変化しやすく、自律神経のバランスも乱れやすくなります。自律神経のバランスが乱れると新陳代謝も乱れ、肌トラブルが起こりやすくなります。
化粧品を違うものに変えて肌に合わなかった、ということもあるでしょう。睡眠不足が続いていたり、疲れていたりすると肌に影響が出やすく、普段は問題なく使える化粧品でも肌荒れを起こすことがあります。
肌が弱っている、と感じた場合、レチノール化粧品が負担になることもあるので、使用を控えた方がよいでしょう。
肌に負担をかけない日焼け止めの選び方
レチノール化粧品を使った場合、紫外線対策をすることを先に述べましたが、日焼け止めは選び方によって肌への負担になることがあります。できるだけ肌に負担をかけない日焼け止めの選び方をお伝えします。
「紫外線散乱剤」使用の日焼け止めを選ぶ
日焼け止めには紫外線防止剤として「紫外線吸収剤」、もしくは「紫外線散乱剤」が使用されています。
少しでも肌への負担を軽くするなら、「紫外線散乱剤」使用の日焼け止めがおすすめです。
紫外線吸収剤 |
紫外線を吸収する際、化学反応を起こすため肌への刺激となることがある |
紫外線散乱剤 |
紫外線を肌の上で反射させて紫外線を跳ね返す。化学反応がないので肌への負担が軽い |
ただし、紫外線吸収剤の方が伸びがよく、使いやすい点がメリット。紫外線散乱剤は白浮きしやすく、塗りすぎると肌を乾燥させやすい点はデメリットです。
保湿成分が配合されている日焼け止めを選ぶ
日焼け止めを選ぶ際は、保湿成分が配合されているものを選びましょう。紫外線はシミの原因となるだけでなく、肌を乾燥させてしまいます。
肌が乾燥すると、肌のバリア機能が低下し外部からの刺激を受けやすくなります。結果、さらに肌を敏感にしてしまうのです。日焼け止めを選ぶ際には、セラミドやヒアルロン酸など保湿成分が入っているものがおすすめです。
添加物が入っていないものがおすすめ
日焼け止め以外のスキンケア用品にも言えることですが、できるだけ添加物が取り除かれているものを選びましょう。着色料や合成香料、アルコール、パラベン、鉱物油といった添加物は肌への刺激となる可能性があります。
敏感肌ではなくても、肌が敏感な状態では、かゆみや赤くなる、発疹ができるなどのトラブルを引き起こすこともあります。
無添加とされているものでも、すべての添加物が入っていないとは限りません。何が無添加なのか、チェックする必要があります。
植物由来など肌にやさしい成分を使っているものを選ぶ
添加物ができるだけ取り除かれているほか、使用されている成分が植物由来など肌にやさしい配慮がされているものを選びましょう。
また、「低刺激」「ノンコメドジェニックテスト済み」「ノンケミカル」などと表記されているものがおすすめです。
「ノンコメドジェニックテスト済み」とは、人の肌でコメド(ニキビのでき始めで毛穴が詰まった状態)ができにくいことが確認されたものです。
落としにくいウォータープルーフタイプは避ける
ウォータープルーフタイプはクレンジングをしっかりしなければならず、その際に肌を傷めてしまう可能性があります。
肌への負担を減らすなら、石鹸や洗顔料だけでも洗い流せるタイプがおすすめです。
「うっかり日焼け」をしないよう注意が必要
レチノール化粧品を使った後は、紫外線対策をすることが必要であるとわかっていても、「うっかり」日焼けをしてしまうことがあります。次のような場合でも、日焼けや肌トラブルにつながることがあるので、注意しましょう。
- 曇りだった
- 部屋の中にいた
- 日陰にいた
- 長袖の服を着ていた
紫外線は曇っていても雲の間から紫外線が通過することがあります。
雲の状態によっては、雲が比較的多くても日射しを受けていれば、快晴の場合よりも大きいUVインデックスとなることもあります。
引用元:気象庁 雲と紫外線
部屋の中にいてもUVA(紫外線A波)はガラスを通って肌に影響を与えます。電車のドア付近などに立っている場合でも紫外線には注意しなければなりません。
日陰にいても油断してはいけません。紫外線はまっすぐ届くだけでなく、空気中で四方八方に広がって届く紫外線があります。また地面などに反射した紫外線を肌に浴びる可能性もあります。
長袖の服を着ていても、紫外線は素材やデザインによっては衣服を通過してしまいます。麻やシルクなどは紫外線を通しやすく、ポリエステルやナイロン素材は紫外線を通しにくいと言われています。
衣服を選ぶ際は、素材やデザインにも注意しましょう。
レチノール化粧品を選ぶ際のポイント
レチノール化粧品も数多くあり、レチノールの濃度や配合成分などに違いがあります。レチノール化粧品を選ぶ際のポイントと注意点についてお伝えします。
化粧品を買う際にチェックしたいレチノールの種類
市販されているレチノール化粧品には、レチノール誘導体と純粋レチノールがあります。
レチノール誘導体と純粋レチノールの違いを知っておきましょう。
レチノール誘導体 |
効果が穏やかで肌への刺激が少ない。その分、レチノールの効果が出にくかったり、効果を感じるまでに時間がかかったりすることがある |
純粋レチノール |
レチノール誘導体より肌への刺激が強い。その分、レチノールの効果を実感しやすい |
先に述べたように、トレチノイン(レチノイン酸)は肌への刺激が強いため、医療機関のみで処方されます。市販されているレチノール化粧品で効果が得られない場合は、医療機関で相談をしてみることです。
肌が敏感な場合は濃度の低いものから使い始める
肌に刺激となる可能性もあるレチノール。
特に肌が敏感な場合は濃度の低いもの、レチノール誘導体から始めてみましょう。
どの種類のレチノールが配合されているかは、パッケージの成分表示を確認してみてください。それぞれ、以下のように記載されていることが多いです。
レチノール誘導体 |
パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールなど |
純粋レチノール |
レチノール、レチノール油液など |
レチノールと一緒に使うのがおすすめの成分
レチノール化粧品にはほかの成分が配合されていることも多いものです。
レチノールと一緒に使うことで、より高い効果が期待できるからです。おすすめの成分を紹介します。
成分 |
特徴 |
ナイアシンアミド |
ビタミンB3とも言われるビタミン成分。メラニンの生成を防ぎシミ予防、美白効果が期待できる。コラーゲンの生成を促しシワ予防効果も期待。抗炎症作用でニキビの悪化を抑える |
セラミド |
もともと皮膚に存在する保湿成分。水分保持、バリア機能の強化ができる |
ヒアルロン酸 |
水分保持力が高い成分。肌の水分を蒸発させず蓄えることで、弾力のあるみすみずしい肌づくりができる |
コラーゲン |
真皮の主成分で、ゴムのような弾力を持つ。減少するとハリや弾力が失われる |
トラネキサム酸 |
メラノサイトの活性化を抑え、シミや肝斑、シミの予防や改善効果が期待できる |
バクチオール |
肌の新陳代謝を促す。抗炎症・抗菌作用がありニキビ予防や改善にも効果的と言われる |
ビタミンC |
メラニンの生成を抑え肌を白く保つ。コラーゲンの生成を促し肌の弾力をキープする |
レチノール化粧品は夜使うのがおすすめ
レチノール化粧品は、基本的に夜に使うのがおすすめです。レチノールは紫外線によって劣化しやすく、効果が半減してしまう可能性があります。肌への刺激となることも考えられます。
また、新陳代謝を促す成長ホルモンは、就寝中に多く分泌されます。夜、寝る前にレチノールを使うことで、レチノールの効果を高められると言えます。
ただし、パルミチン酸レチノールは紫外線から肌を守る作用があると言われているので、朝に使用しても問題ないと言われることもあります。
レチノールを使うタイミングに関しては、化粧品によっても異なるものです。使用する化粧品の注意事項や使用方法を確認し、それに合わせて使うことをおすすめします。
レチノール化粧品を継続して使うために!化粧品選びの注意点
レチノール化粧品は継続して使うことが必要です。そのためにも、レチノールの種類や濃度などのほか、以下の点に注意して化粧品選びをしましょう。
肌質に合ったものを選ぶ
肌への影響が強いレチノールは、肌質に合わせて選ぶことが必要です。特に敏感肌の場合は、肌に穏やかな効果が期待できるタイプのレチノール化粧品の方が安心して使えるでしょう。
特に次のような肌タイプの方はレチノール化粧品を選ぶ際は慎重に選ぶ必要があります。
- 新しい化粧品を使うたび肌トラブルが起こる
- 季節の変わり目は必ずといっていいほど肌が乾燥したり化粧ノリが悪くなったりする
- ニキビや吹き出物がでやすい
- 常に肌が乾燥している
敏感肌ではなくても、体調などによって肌が敏感になっていることもあります。その場合は、肌が安定してからレチノール化粧品を使うことも考えた方がよいかもしれません。
年齢に合ったものを選ぶ
年齢とともに肌は変化するものなので、年齢に合わせた化粧品選びが必要です。20代で使用していた化粧品が30代になると効果が感じられなくなることもあります。
どの年代においても、保湿成分を維持するケアは重要です。特に30代、40代になると肌の水分量が減ることや、新陳代謝が乱れやすくなることなどから、レチノールのほかの成分にも着目しましょう。
美白効果が期待できるトラネキサム酸や保湿効果の高いセラミド、肌細胞を活性化すると言われるプラセンタなどが配合されているものもおすすめです。
美容液やクリームを選ぶ
レチノールは油と相性がよいこともあり、美容液やクリームを選んだ方が効果を実感しやすいです。
美容液やクリームは成分がしっかり配合されています。レチノールやヒアルロン酸など、特定の成分をきちんと配合しているので、より高い効果が期待できるでしょう。
肌への浸透性などを考えてつくられているものが多く、効果を出しやすい点もメリットです。
テクスチャーを確認して使用感のよいものを選ぶ
化粧品選びにおいてテクスチャーも重要です。いくら効果があると言っても、ベタベタして使いにくい、使い心地が悪い、と感じてしまうと、スキンケアに対してストレスを感じてしまうものです。
スキンケアはできるだけリラックスして、心地良い状態で行いたいものです。また、使い心地が悪いと、継続して使っていくことができません。
快適に、心地良く使っていくためにも、使用感のよいものを選びましょう。
深刻な肌悩みならトレチノインを使った治療を検討する
スキンケアでは解決できない肌の悩みがある場合は、医療機関で診察を受け、トレチノインを使用した治療を検討するのも方法の一つです
クリニックや皮膚科でトレチノインを配合したクリームやジェルを配合してもらい、自宅で塗布します。使用頻度は肌の状態などによって異なります。状態によっては、ハイドロキノンを合わせて処方される場合も。
ハイドロキノンはメラニン色素の生成をおさえる作用があり、シミやニキビ跡などの色素沈着を改善する効果が期待できます。
自分では解消するのが難しい肝斑や老人性色素斑、そばかす、ニキビ跡や傷などの跡はクリニックなどの医療機関で相談してみるとよいでしょう。
スキンケアのよくある誤解
レチノール化粧品を使っていても、間違ったスキンケアをしていれば肌は改善しません。スキンケアのよくある誤解について解説します。
効果があると話題の美容成分だから効果がある
効果があると言われていても、話題になっている成分でも、必ずしも自分の肌に合うとは限らず、効果が出るとは言えません。それは、レチノール化粧品でも言えることです。例えば敏感肌の場合、レチノールが刺激となり、肌荒れを起こしてしまう可能性もないとは言えません。
高額化粧品なので少量ずつ使う
高額な化粧品でも適量を使わなければ効果が得られない場合があります。高額な化粧品の場合、成分がしっかり配合されていたり、肌に浸透しやすいつくりになっていたりします。だからといって、使用する量が少ないと効果が発揮できないことがあります。
クレンジング化粧品でマッサージをしながらメイクを落とす
クレンジング化粧品でマッサージをすると肌を傷めてしまう可能性があります。スキンケアアイテムにはそれぞれ役割があり、配合されている成分も異なります。特にクレンジング剤は汚れを落とすことが目的で、中にはピーリング作用があるものもあり、マッサージをすると肌を傷めてしまうので注意が必要です。
化粧水はコットンや手でたたき込むと浸透しやすい
化粧水を肌にたたき込むように塗布すると肌を傷めてしまう可能性があります。たたき込んでも成分が肌の奥に浸透することはありません。また、コットンでこするのもNGです。
洗顔は冷たい水で洗い流すと肌が引き締まる
洗顔を冷水で行うと毛穴が閉じて汚れがきれいに落とせないことがあります。また、メイク用品の油分や皮脂は体温に近い温度で溶けやすいものです。冷水で洗顔をしても、メイクの油分や皮脂が溶けず、肌に残ってしまいます。
ビタミンAを食事から摂る!美肌づくりに必要な生活習慣
美肌づくりのためには、ビタミンAを食事から摂るなど、生活習慣の見直しも必要です。レチノールの効果を高めるためにも、美肌に悪い生活習慣は改めましょう。
ビタミンAを多く含む食品を積極的に摂る
ビタミンAを多く含む食品を食事に取り入れましょう。ビタミンAは、次のような食品に多く含まれます。
- 緑黄色野菜(モロヘイヤ、にんじん、ほうれん草、とうがらし、カボチャなど)
- レバー
- うなぎ
- チーズ
- 卵黄
- あん肝 など
野菜に含まれるのは体内でビタミンAに変換されるプロビタミンAと呼ばれるものです。代表的なものがβカロテンです。
美肌のために野菜を多く食べるのはよいのですが、サラダばかりだと体を冷やしてしまいます。野菜は生で食べるだけでなく、蒸す、ゆでる、スープにするなど温野菜で食べるのがおすすめです。
食事でビタミンAを摂れない場合はサプリメントで摂る
食事でビタミンAを摂るのが難しい場合は、ビタミンA(レチノール)サプリメントを利用するのもよいでしょう。ただし、ビタミンAの過剰摂取をしないよう摂取量に注意することです。
ビタミンAは過剰に摂取すると、頭痛、脱毛、筋肉痛、肝機能障害、嘔吐、めまい、皮膚トラブルなどが起こる危険性があります。摂取量は守り、過剰に摂取しないようにしましょう。
血行不良は肌荒れを引き起こす
血行不良は肌の健康に必要な栄養素や酸素が行き渡らず、肌の新陳代謝を乱す原因となります。せっかくレチノールでターンオーバーを改善しようとしても、血流が悪いと効果がしっかり出なくなります。
そうならないためには体を冷やさないことです。特に冷え性の方は肌荒れもしやすいもの。冷え性を改善することも大切です。冷え性改善のポイントは次の通り。
- 冷たい飲み物を控え温かい飲み物を選ぶ
- 体を温める食材(ショウガやニンニク、納豆や味噌などの発酵食品)を摂る
- 冷房の効いた部屋ではひざ掛けなどを使い体が冷えないようにする
- 体を締め付ける下着や服を避ける
- シャワーですまさず湯船に入る
- 筋肉をつける
冷えを改善するには血行をよくすることですが、筋肉がないと熱を発生しにくく、冷えを感じやすくなります。冷えを解消するためにも、美肌のためにも運動をして筋肉量をアップしましょう。
質のよい睡眠が美肌をつくる
睡眠が足りないと成長ホルモンの分泌が減り、新陳代謝がスムーズにいきません。睡眠不足は自律神経の一つである交感神経を活発にして血管が収縮され、血行不良の原因になります。
睡眠不足の翌日は化粧ノリが悪い、肌が乾燥しやすい、など肌荒れを感じることも多いでしょう。
レチノールの効果を高めるためにも、睡眠時間はしっかり確保することです。
メイクは必ずきちんと落とす
ファンデーションやマスカラ、アイシャドウなどのメイク用品を落とさないと、毛穴に皮脂や汚れが入り込み、炎症の原因になります。肌に汚れや化粧品が残っていると、肌を乾燥させてしまうことも。
肌が乾燥すると新陳代謝が乱れ、また新陳代謝が乱れるとさらに肌を乾燥させるという悪循環に陥ります。どうしても疲れてしまい、メイク落としができない場合は、メイク落としシートや拭き取るタイプのクレンジングでメイクを落としましょう。
過剰なスキンケアは肌荒れの原因になる
クリームをたっぷり塗る、美容液を必要以上に使うなどの過剰なスキンケアは、かえって肌荒れを招きます。特に油分の多いクリームや美容液は、皮脂を過剰に分泌させ毛穴の炎症などを引き起こしかねません。
レチノール化粧品もたっぷり使えば効果が高まるわけではありません。肌に刺激を与え、肌トラブルを起こすこともあります。用量を守り、正しい使い方をしましょう。
洗顔もやりすぎると必要な皮脂を取り除いてしまい、肌を乾燥させてしまいます。皮脂の分泌が気になるからと、2時間置きに洗顔をするなどといったことはしないことです。クレンジング材や洗顔料の使い過ぎは洗い残しの原因にもなるので、適切な量を使うようにしましょう。
「レチノールの効果」に関するよくある質問
「レチノールの効果」に関するよくある質問を集めてみました。参考になさってください。
Q レチノール化粧品は敏感肌の場合使わない方がよいですか?
A
レチノール化粧品は敏感肌の方でも使用可能です。肌が敏感な場合は、効果が穏やかなレチノールを配合している化粧品を選ぶとよいでしょう。不安があるなら、使用前にパッチテストをすることをおすすめします。
Q レチノールにはどのような効果がありますか?
A
レチノールにはコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成を促し肌の弾力を高めたり、ターンオーバーを促したりしてシミを予防・改善したりする効果が期待できます。また、皮脂の分泌を抑えてニキビの炎症を抑える、抗酸化作用により、肌老化を遅らせる働きもあります。
Q レチノールは朝のスキンケアに使わない方がよいですか?
A
商品によって朝は使わない方がよいものもあります。しかし日焼け止めを塗れば朝に使ってもよい場合もあります。レチノールは紫外線に弱いという性質があるので、不安がある場合は夜に使うとよいでしょう。もしくは、商品の注意事項や使い方を確認して使うことをおすすめします。
Q レチノールはビタミンCと併用してはいけないのですか?
A
ビタミンCと併用しても大丈夫です。ただし、高濃度のビタミンCやハイドロキノン、ピーリング剤と併用すると肌への負担が大きくなる可能性があるので併用しない方がよいでしょう。
Q レチノールを塗った後に日焼け止めを塗っても大丈夫ですか?
A
レチノールを塗った後に日焼け止めを塗っても問題ありません。レチノールの効果を弱めないためにも、紫外線対策が必要です。
レチノールは肌のハリや弾力を取り戻しみずみずしい肌にしてくれる
レチノールはコラーゲンやエラスチンの生成を促し、肌のハリや弾力を取り戻したり、ターンオーバーを促しシミやくすみを解消したり、皮脂の分泌を抑えて毛穴トラブルやニキビトラブルを予防・改善する効果が期待できます。
スキンケア用品を選ぶ際には、ナイアシンアミドやセラミドなどの成分が一緒に配合されているものを選ぶと、より高い美肌効果が期待できます。
ただし、レチノールは紫外線に弱いものなので、夜に使用するか、朝に使った場合は日焼け止めを塗ることを忘れないようにしましょう。