アスタキサンチンとは?強い抗酸化作用による健康・美容効果と注意点
アスタキサンチンとは、身体や肌の老化を防ぐ抗酸化作用を持つ成分です。アスタキサンチンが持つ抗酸化作用は肌を紫外線から守ってうるおいを保つなどの美容効果だけではなく、血管や細胞をダメージから守り、全身単位での健康を守る作用も期待されています。
アスタキサンチンはエビやカニといった食材からも摂取できますが、アスタキサンチンの成分そのものを豊富に含んだサプリメントからも効率的な摂取が可能です。
ただしアスタキサンチンを健康や美容に役立てるなら、効率的な取り入れ方や食材を使った調理法、摂取すべき量や副作用などについてもよくチェックしておきましょう。本記事では、アスタキサンチンの効果やメリット、活用方法について解説していきます。
海の生き物や甲殻類に多いことから、比較的野菜が多いカロテノイドの中でも「海のカロテノイド」として知られているのがアスタキサンチンの特徴の一つです。
もともと藻に多く含まれ、それを食べて成長した生き物に含まれる成分のため、野菜よりも魚介類を中心にメニューを考えると、食材からアスタキサンチンを取り入れやすくなるでしょう。
アスタキサンチンとは? 抗酸化作用を持つ成分として知られる働き
アスタキサンチンは、抗酸化作用を持っている成分の1つとして様々な業界から注目されています。食品やサプリメントとしてだけではなく、近年では美容液などの化粧品としての展開もされています。 まずはアスタキサンチンについて、働きや成分の特徴について見ていきましょう。抗酸化成分である「カロテノイド」の一種
アスタキサンチンは「抗酸化作用」と呼ばれる働きを持つ、「カロテノイド」の1つです。カロテノイドとは、野菜や果物、魚類などに多く含まれている天然色素成分の1つです。自然界に存在する黄色や橙色、赤色といった様々な色素がカロテノイドと呼ばれ、強力な抗酸化作用を持つことで知られています。
抗酸化作用とは、「活性酸素」による体への悪影響を防ぐ働きのことです。活性酸素は人の身体を細胞単位から酸化(錆び)させて、皮膚や粘膜の健康にリスクを及ぼします。
例えば血管の細胞が酸化することで動脈硬化などのリスクが高まり、肌の細胞が酸化することで肌質が悪くなったりといったリスクが考えられます。
抗酸化作用を持つカロテノイドはアスタキサンチン以外にも、「リコピン」や「ルテイン」などの種類が挙げられますが、中でもアスタキサンチンは赤色をしており、眼や肌の健康をサポートするという働きが有名です。
現在もアスタキサンチンの持つ抗酸化作用には様々な働きがあることが期待されており、現在進行形で多くの研究機関から人の身体の健康に役立てるための実験や検証データが報告されています。
天然アスタキサンチンと合成アスタキサンチン
アスタキサンチンを使ったサプリメントや美容液といった化粧品は数多く製造・販売されていますが、実際にどのような製法によって生成されたアスタキサンチンが使われているかによって、効果や作用は大きく変化します。 具体的には、アスタキサンチンには以下の2種類が存在します。- 天然アスタキサンチン
- 合成アスタキサンチン
例えば緑藻の中でも特にアスタキサンチンの含有量が多い「ヘマトコッカス藻」由来のアスタキサンチンは、「既存食品添加物名簿」に掲載され、様々な安全性に関する確認試験が実施されています。
もともとアスタキサンチンはエビやカニ、鮭など海の生物に多く含まれる成分ですが、これらの動物は実際には体内でアスタキサンチンを合成しているわけではなく、微細藻類や植物に生成されたアスタキサンチンを食物連鎖によって体内に蓄積したことで、表面に赤色や橙色などがあらわれているのです。
これに対して合成アスタキサンチンとは、化学合成法で作られるアスタキサンチンのことです。「非天然アスタキサンチン」という呼び方でも知られており、化学合成品のため天然由来のものより効果が劣りやすいものの、安価に入手しやすい点が特徴です。
高い効果を得たい場合には、天然アスタキサンチンの使われたサプリや化粧品などがおすすめですが、なるべく低コストでアスタキサンチンを試したいという人には、合成アスタキサンチンを使った商品がおすすめです。
健康効果や美容効果などで大きく注目を集めているアスタキサンチンは、現在も生産コストを抑えながらの天然由来アスタキサンチンの生成が研究されています。天然アスタキサンチンの大量培養を低い生産コストで実現できるようになれば、より手軽に効果的なアスタキサンチンの摂取が可能になるでしょう。
アスタキサンチンが与える人の体への影響
アスタキサンチンが人の体に与える良い影響として注目されているのは、やはり「抗酸化作用」です。前述の通り、抗酸化作用は細胞の酸化を防ぎ、体の健康や美容を守る働きがあります。詳細は口述しますが、実際にアスタキサンチンの持つ抗酸化作用によって、以下のような効果が期待できます。
アスタキサンチンが人の身体に影響を与えるのは、日々の食事で鮭や鯛といったアスタキサンチンを含む食材を摂取し続けた場合です。つまりアスタキサンチンの影響を受けるためには、継続してサプリや食事から摂取し続けなければならないというわけです。
また、アスタキサンチンの影響として挙げられる抗酸化作用はビタミンEやビタミンCにも含まれていますが、アスタキサンチンの抗酸化作用はビタミンEの100~1,000倍ほどとも言われています。
強力な作用で活性酸素を除去し、病気や老化の予防だけではなく、見た目の美しさを保ったり運動による疲労回復に役立ったりなど、ライフスタイルそのものを自分の理想に近づけるサポート役として働きが期待できるでしょう。
- 血管を健康に保つ
- 生活習慣病の予防
- 脳の機能老化予防や向上
- 運動パフォーマンスの向上
- 肌の健康と美しさの維持
アスタキサンチンが多く含まれる食材
アスタキサンチンは、抗酸化作用を持つ自然界にある動植物の中でも、特に赤色の色素を持っているカロテノイドの一種です。特にアスタキサンチンを含んでいるとされているのは以下のような食材です。- エビ
- カニ
- いくら
- 鮭
- サクラエビ
- 鯛
- 鯉
- マス
もちろん魚介類だけのメニューだと栄養バランスが偏ってしまいますから、他の野菜や肉類もバランスよく摂り入れましょう。特に他のカロテノイドを含む野菜類と一緒にアスタキサンチンの含まれる食材を使うと、抗酸化作用の相乗効果が期待できます。
アスタキサンチンで期待できる人の身体への健康作用やメリット
アスタキサンチンを積極的に摂り入れることで、実際にどのような効果やメリットが期待できるのでしょうか?人の健康やライフスタイルをサポートしてくれる、アスタキサンチンの作用について詳しく見ていきましょう。抗酸化作用による老化予防
アスタキサンチンをはじめ、抗酸化作用を持つ成分の多くに共通して期待できるのが「老化の予防・抑制」効果です。抗酸化作用は常に人の体内で発生している活性酸素から体内の細胞を守り、病気や老化の予防に繋がっています。もともと活性酸素は年を重ねるごとに増えるとも言われていますが、
加齢に加えて、上記のような生活習慣が身についてしまっていると、歳を重ねるごとに着実に身体にかかる負担は増えていくばかりです。
また、抗酸化作用は人の身体にももともと備えられてい舞うが、加齢とともにだんだんと抗酸化の働きが弱まっていきます。つまり加齢とともに細胞が活性酸素によって与えられるダメージは大きくなり、そのダメージを無毒化するための抗酸化作用はどんどん弱まっていくということです。
無毒化されずに体内に溜まる活性酸素はより毒性が強いものになっていくため、アスタキサンチンのように強い抗酸化作用を持つ成分を、できるだけ若い内から積極的に摂り入れることが、身体の内側から全身に進んでいく老化の予防策として期待できるでしょう。
- 精神的・肉体的ストレス
- 食品添加物
- 喫煙
- 身体に負担をかける運動
- 飲酒
- 紫外線
- 食生活のバランス
眼の健康維持や病気予防
近年ではデジタル技術が進んだことで、多くの現代人はスマホやPCなどの液晶を眺めない日はないでしょう。スマホやPCからはっせられる光の中には「ブルーライト」と呼ばれる光線があり、少しずつ人の目の健康にダメージを与えています。ブルーライトとは、光の中でも特に青色の光線を放つもののことです。光には人の目に見えるものと見えないものの2種類がありますが、ブルーライトは見える光線(可視光線)の中でも波長が小さく、光が散乱して人の目にチラついて見えてしまいます。
つまり目に浴びる機会が多いほど、目を疲れやすくしてしまうのがブルーライトの特徴です。ブルーライトはスマホやPCからの液晶画面からだけではなく、太陽光からも発せられているため、外出の機会が多い人も注意が必要です。
アスタキサンチンには、抗酸化作用によって視細胞が傷つくのを防ぎ、目の疲れ(眼精疲労)や視力の低下を防ぐ可能性が期待されています。
実際に、ダメージの与えられた視細胞に対してアスタキサンチンを摂取した実験において、視細胞のの損傷が減少し、酸化ストレスによるダメージが軽減されたことが研究データとしても報告されています。
- 眼精疲労
- 視力の低下
- 眼のかすみ
- 視界のぼやけ
- 白内障や緑内障などの目の病気
脳機能の向上や認知症の予防
アスタキサンチンの持つ病気や老化の予防効果は、脳にも働きかけています。抗酸化作用を持つ成分は沢山ありますが、中でもアスタキサンチンは脳と目に特に強くアプローチすることで知られています。脳は人の身体の中でも特にデリケートな器官として作られており、脳に続く血管には「血液脳関門」と呼ばれる部分があります。血液脳関門では脳に必要な栄養素のみが選別されており、抗酸化作用を持つビタミンCやビタミンEでは通ることができませんが、アスタキサンチンは通過できることが知られています。
つまり抗酸化作用を持つ成分の中でも、アスタキサンチンは直接脳の血管内に入ってアプローチできるという点が強みになります。
脳の血管内から細胞を守る働きをすることで、脳全体の衰えを防ぎ、遅らせる効果が期待できます。具体的に言えば、
- 認知症やアルツハイマーの予防
- 脳梗塞などの病気の予防
- 認知機能の衰えの予防
実際に、鮭やイクラなどに含まれるアスタキサンチンを長期間にわたって摂取したことにより、脳にある海馬の神経新生が促進され、学習記憶脳が向上する事も研究データにより実証されています。
心血管系の健康維持や病気予防
心血管系は「循環器系」という呼び方もされており、血液を全身に循環させる、心臓から全身に巡っている血管のことを言います。動脈や静脈の他、酸素や栄養素尾の供給などを行う毛細血管も含まれています。 アスタキサンチンには、この心血管系の健康を維持し、病気を予防する働きも期待されていあmす。例えば血管の中の血流を妨げ、様々な病気に繋がってしまう「動脈硬化」は、血中脂質の異状が原因と考えられています。活性酸素によって酸化されたコレステロールが血管壁に蓄積されることにより、欠陥が固く細くなって老化し、血流が滞りやすくなってしまうのです。
アスタキサンチンの持つ抗酸化作用は、コレステロールの酸化を防いで動脈硬化の予防に繋がるという効果が期待されています。つまり血管から健康を維持することで、心血管系の健康を維持し、病気を防ぐ効果が期待できるというわけです。
また、動物を使った実験では、アスタキサンチンの投与によって善玉コレステロールが増えたという結果も報告されています。血中脂質には悪玉コレステロールと、それを回収する善玉コレステロールがあり、このうち善玉コレステロールを増やすことによって、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病を防ぐことにもつながります。
血管は人の身体の頭から足先まで巡っており、健康を維持するための大きな指標となる存在です。その血管を守るアスタキサンチンは、全身単位で体の内側から健康を守り、様々な病気の対策となるでしょう。
運動機能の向上や疲労回復の促進
日ごろから適度な運動を行うことは、人の健康を維持していく上で重要なポイントです。ただし運動がもともと苦手な人や、少しの運動で疲れてしまう人、筋肉痛で長続きしないという人もいるでしょう。 アスタキサンチンには、身体機能の向上や運動後の疲労回復といった働きが期待されています。人の身体は運動をすることにより、「反応性酸素」や「窒素種」が過剰生成され、脂質やタンパク質、核酸がダメージを受けるとされています。アスタキサンチンはカロテノイドの中でも強い抗酸化作用を持っているため、こうした運動による体のダメージを防ぐ働きがあるとされているのです。
実際に2019年に東海大学医学部などで行われた共同研究では、駅伝チームに所属する選手を対象に臨床試験を行いました。天然由来のアスタキサンチンを摂取することにより、運動後の筋肉筋肉の軽減に有効であるという結果が確認されています。
もともと筋肉痛は運動に寄🄬物理的な負荷の他にも、活性酸素の発生による酸化ストレスで細胞がダメージを受けている点も理由の一つです。そのため、運動をする前や日常的にアスタキサンチンを摂取していると、筋肉疲労を感じにくい体質になる効果が期待できます。
筋トレをしている人や、ダイエットやスタイルアップ目的で運動を続けたいと考えている人は、ぜひアスタキサンチンの摂取を習慣化してみてはいかがでしょうか。
- 持久力が高まる
- 筋肉疲労を受けにくくなる
- 疲れを残りにくくし、回復を早めやすくなる
- 運動中の集中力が高まる
腸内フローラの調整による腸活効果
お通じが悪い、便秘になりやすい、腹部膨満感に日ごろから悩まされている…という人にも、アスタキサンチンはおすすめできる成分の一つです。 実はアスタキサンチンには腸内細菌との関係性もあることが、近年の研究結果から判明しています。ちなみに「腸内フローラ」とは、腸内に存在する菌類が張り付いていることが花畑に見えることから名づけられた、腸内環境を意味する言葉です。腸内環境は、善玉菌と悪玉菌、そのどちらかになろうとしている日和見菌の3種類の菌が大きく分けて存在します。悪玉菌が増えると日和見菌も悪玉菌になってしまい、腸内環境が悪化して便通が悪くなってしまうというわけです。
アスタキサンチンには、悪玉菌を減らして日和見菌が悪玉菌になってしまうのを防ぎ、腸内環境を整える作用が認められています。
腸内環境を整える方法としてよく知られているのは、ヨーグルトや牛乳などを摂取して善玉菌を増やす方法ですが、これだと日和見菌が悪玉菌になってしまった場合、どうしても腸内には悪玉菌ばかりが増えること似なります。
アスタキサンチンは善玉菌を増やすのではなく、あくまで悪玉菌の増加を防ぐことで腸内環境を整えるというアプローチが可能です。
特に、近年では食の欧米化が進んでいることで悪玉菌の増加が著しく見られているため、現代人は悪玉菌が増えやすい傾向にあります。悪玉菌は脂質の多い食事で増えやすいため、悪玉菌が多い・増えやすい食生活をしている自覚のある人は、アスタキサンチンを摂取して腸活を行うのもおすすめです。
また、腸内環境が乱れると肌質も荒れ、ニキビや吹き出物などができやすくなります。肌トラブルにお悩みの人も、腸活の一環としてアスタキサンチンを摂り入れてみるのも良い方法ですよ。
免疫の向上と感染症などの予防
人の身体の中で働く免疫機能とは、人を細菌やウイルスなどから守り、病気やケガを防いだり回復を促したりする働きのことです。免疫が低下するとケガが治りにくくなったり、風邪や病気にかかりやすくなったりといった症状が起きます。 アスタキサンチンは人の免疫細胞に働きかけ、免疫を強くする作用が期待されています。アスタキサンチンに含まれる抗酸化作用は活性酸素の生成を抑制し、免疫力が弱る要因を防ぐ効果が期待されています。 免疫は病気やケガの予防・回復促進に繋がるだけではなく、肌のバリア機能を高めて肌質の改善に導くなど、体の内側も外側も健康にする働きが期待できますよ。ちなみにアスタキサンチンが多く含まれているのは、エビやカニ、鮭といった魚介類ですが、魚介類に含まれる魚油にも免疫機能を高める効果が期待されています。魚油はBリンパ球と呼ばれる、白血球の20~40%を占める免疫細胞のことを言います。
鮭やマスといった、アスタキサンチンが含まれる魚介類にも魚油は含まれています。積極的に魚介類を食生活に採り入れることで、魚油の働きとアスタキサンチンの抗酸化作用の相乗効果によって、より免疫機能の活性化に繋げられるでしょう。
肝機能サポートや全身のデトックス作用
アスタキサンチンには、肝臓への脂肪沈着を防ぐ働きがあることが分かっています。肝臓への脂肪沈着を防ぎ、抗酸化作用によって肝臓の機能を高め健康を維持することにより、- 肝硬変
- 肝炎
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- アルコール性肝炎
肝臓は、外部から摂り入れた栄養分を体内で分解・合成したり、余分に入って来た栄養素を蓄えたりといった働きの他、有害物質の解毒をしたり、飲食したものの消化吸収を助ける胆汁を生成・分泌するといった働きを持っています。
つまり肝機能の働きを助けるということは、体全体のデトックス作用に繋がるというわけです。必要な栄養素を効率良く取り込み、悪いものや有害なものを輩出しやすくする手助けをすることによって、体の健康維持の助けになるでしょう。
特に肝臓は、飲酒したアルコールの90%を処理・分解している臓器です。つまり飲酒の習慣が多い人ほど、アスタキサンチンによる肝機能のサポート機能が役に立つでしょう。また、飲酒は肝臓の病気の要因としても挙げられやすいため、肝臓病の予防にもおすすめです。
糖尿病の予防に役立つ
高カロリーな食事や糖質の高い食事が多い人には、糖尿病のリスクが生まれます。甘いお菓子などのスイーツだけではなく、日ごろからパンや麺類などの小麦や、お米を使った料理など、炭水化物の多い食事をしている人ほど糖尿病に要注意です。糖尿病は、体内に取り込まれた糖をエネルギーに変えるためのインスリンが十分に働かなくなってしまったことにより、血糖値が高くなってしまう病気です。インスリンは膵臓から分泌されていますが、膵臓の働きが低下したり、インスリンの分泌量そのものが低下することで身体に異常をきたします。
糖尿病の症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 喉が渇きやすくなる、よく水を飲みたくなる
- 排尿の回数が増える
- 体重が減る
- 疲れやすくなる
- 低血糖症状による意識障害や指先の震え等が生じる
また、糖尿病は「糖尿病性網膜症」と呼ばれる、網膜出血や網膜剥離などの目の病気にも発展するリスクがあります。もともと目に働きかける作用も持っているアスタキサンチンは、糖尿病性網膜症の予防にも繋がる可能性が期待できるでしょう。
脳神経系にアプローチし、自律神経を整える
精神的なストレスだけではなく、急激な寒暖差や気圧の変動、肩こりや眼精疲労、ホルモンバランスの乱れなど…自律神経の乱れに悩まされる現代人は少なくありません。自律神経とは、身体を活発に動かしたりストレスを感じたりする際に優位になる「交感神経」と、リラックスした状態で優位になる「副交感神経」の2種類があります。交感神経は心拍数を高めて血圧を上昇させたり、人の身体に疲労感を与えたりといった作用があることで知られています。
自律神経は日常生活の中で、仕事をしているときや運動をしているとき、のんびりリラックスしているときなど適切なタイミングで切り替える必要がありますが、乱れが生じると体が思うように動いたり休まらなくなったりして、ダメージが蓄積されてしまいいます。
アスタキサンチンには、運動時に優位になる交感神経をスムーズに落ち着けて、副交感神経が優位な状態をつくる作用があることが研究で明らかになりました。
例えば眠りたいのに眠れないときなどには、副交感神経ではなく交感神経が優位になっていることが一つの理由として考えられます。
前述の通り、アスタキサンチンは脳の関門を通り抜けられる数少ない成分であるため、脳神経系に直接作用して、自律神経を整える効果が期待できるというわけです。
ちなみにアスタキサンチンに自律神経を整える働きが期待されているのは、脳の神経細胞を活性酸素から守る抗酸化作用があることも理由の一つとして考えられています。
ストレスケアがうまくいかない人や、自律神経の乱れに悩まされている人は、ぜひアスタキサンチンを日ごろから摂り入れてみてください。自律神経を上手に整えられるようになると、心身の疲労回復にも繋がりますよ。
治療手段が確立していない「NASH」の予防効果
医薬保健研究息附属脳・肝インターフェースメディシン研究センターで行われた研究にて、鮭やカニに含まれているアスタキサンチンが、「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」の予防・抑制に有効であると判明しました。NASHは生活習慣の改善以外に治療手段が確率されておらず、患者の5~20%は肝硬変や肝がんなどの病気に発展します。病院が複雑なため治療薬の開発が遅れている状況にありますが、近年の臨床試験にて、優れた抗酸化作用を持つビタミンEよりもアスタキサンチンの効果が高い事が明らかになっています。
NASHを引き起こす高コレステロールのエサをマウスに3か月与え、高コレステロールのエサにアスタキサンチンを混ぜた結果、アスタキサンチン混ぜたをエサのグループが生活習慣病やNASHの原因になる、脂肪沈着が約50%減少したというデータになりました。
アスタキサンチンを混ぜたエサを与えたマウスの実験では、肝硬変に繋がる肝臓の延焼や繊維化が80%近くも改善されるなど、治療効果も示されています。
アスタキサンチンがもたらす美容効果。肌質の改善に最適
アスタキサンチンが体の健康にもたらすメリットや効果について解説してきましたが、体の内側だけではなく、外側に見える美容効果も期待されています。アスタキサンチンの摂取で期待できる美容効果についても見ていきましょう。紫外線ダメージから肌を守る
お肌の悩みと言えば様々ですが、中でも紫外線ダメージによる日焼けやシミ、ほくろ、色素沈着にコンプレックスを抱く人は多いのではないでしょうか。紫外線は表皮中に多くの活性酸素を生む要因です。表皮の細胞膜をどんどん酸化させてしまい、最終的には肌のシミやシワ、色素沈着といったトラブルを引き起こします。
もともと肌にシミができてしまうのは、紫外線を浴びることで表皮の最下層にあるメラニン色素が生成され、肌が黒くなることにあります。通常なら黒くなった部分(メラニン)は自然に代謝と共に消えていきますが、活性酸素などの影響で肌の状態が悪くなってしまっていると、色素沈着を起こしてシミ・そばかすとして肌に残ってしまうのです。
アスタキサンチンはカロテノイドの中でも強い抗酸化作用を持っているため、、紫外線による肌ダメージを防ぐ他、メラニン色素の生成を抑制したり、肌の状態を良くしたりといった作用が期待されています。
つまり紫外線ダメージを受けにくく、受けても改善しやすい肌質に導くというわけです。シミやそばかす、ほくろが増えたことに困っている人は、アスタキサンチンを含む食材やサプリを摂り入れたり、化粧品などで外側から摂り入れてみるのも良いでしょう。
肌の若々しさと、美白効果が期待できます。また、紫外線を浴びたことでやけどの状態になってしまい、皮膚が炎症・痛み・発熱する症状の抑制にも繋がりますよ。
肌の老化を抑え、うるおいやハリを維持する
アスタキサンチンは、皮膚細胞のコラーゲンが分解されるのを防ぐ働きがあることで知られています。コラーゲンは美容や化粧品業界でも有名な、肌にうるおいや弾力を与える成分です。皮膚細胞の一つとして存在するコラーゲンは、年齢を重ねると共にだんだんと数が減っていきます。しかし加齢だけではなく、紫外線を浴びることによって与えられる肌へのダメージによっても、コラーゲンが分解されてしまう事が分かっています。
アスタキサンチンを用いた研究データによれば、紫外線を浴びた後の肌にアスタキサンチンを特定の濃度でとオフすることにより、コラーゲンの分解が抑制できることが分かっています。
つまりアスタキサンチンは加齢や紫外線ダメージによってだんだんと失われていく肌のうるおいやハリを、コラーゲンの分解を防ぐことで予防できるというわけです。
肌からうるおいが失われれば、バリア機能が低下して吹き出物やニキビ、かゆみや赤みといった肌トラブルに繋がりやすくなります。また、毛穴が詰まったり開いたまま閉じずに「クレーター肌」と呼ばれる状態になったりなど、懸念される肌トラブルは多くあるでしょう。
コラーゲンが失われれば肌にハリがなくなり、シワやたるみにも繋がります。いつまでも若々しく美しい肌質を維持するためにも、アスタキサンチンによってコラーゲンの減少を抑えることは得策と言えるでしょう。
身体の内側からダイエットのサポートをしてくれる
アスタキサンチンは前述の通り、人の運動能力を向上させたり、運動後の筋肉痛や疲労を和らげたりする効果が期待されています。つまり運動系ダイエットが続きにくい人にほど、運動の負担を減らしてダイエット継続のサポートをしてくれるというわけです。ダイエット失敗の原因は人それぞれですが、中でも「モチベーションが続かない」「途中でやめてしまった」という人は少なくありません。アスタキサンチンの日常的な摂取は、そういったダイエットの失敗要因を取り除く効果も期待できるでしょう。
また、アスタキサンチンは自律神経を整え、ストレスケアにも効果が期待されている成分です。ダイエット中のストレスを緩和し、挫折やリバウンド、ドカ食いなどの予防にも役立てられるでしょう。
ダイエットをするなら、筋肉量を増やして基礎代謝を上げる方法もおすすめです。筋肉をつけるにあたって、筋肉疲労を和らげる作用のあるアスタキサンチンはやはり有効活用できるでしょう。
今までダイエットをしたくても続けられなかったという人は、アスタキサンチンを積極的に摂り入れて、ダイエット継続のサポートをしてもらうのもおすすめです。食材からアスタキサンチンを摂り入れる場合は、自然と魚介類が中心のメニューになるため、カロリーや糖質を制限する食生活にも向いていますよ。
美容液や基礎化粧品としても多く使われている
アスタキサンチンの摂取方法としては食材やサプリメントが挙げられますが、実は身体の内側だけではなく、外側から摂り入れることを目的とした化粧品なども開発されています。 化粧水や乳液・美容液といった基礎化粧品に加え、アスタキサンチンを配合したUV下地など…様々な用途での化粧品が開発されています。 普段のスキンケアに使ったり、メイク下地として使ったりなど…自分に適したアスタキサンチン配合の化粧品を使うのも、美容目的でアスタキサンチンを使いたい人におすすめです。アスタキサンチン配合の美容化粧品を購入するなら、アスタキサンチン以外に配合されている成分や、購入する化粧品の用途に注目しましょう。
例えば日焼け止めとしてアスタキサンチン配合のものを選ぶなら、SPF値や化粧下地として使用できるかを確認すると便利です。逆に肌の白さやうるおい・ハリを取り戻したい美肌目的の人なら、他にも美肌に効果をもたらすビタミンCやセラミドなどが含まれた、美容液や乳液などの基礎化粧品を選ぶのがおすすめです。
アスタキサンチンの副作用はある?過剰摂取などでのリスクを解説
人の身体の健康や美容に様々なメリットをもたらすアスタキサンチンですが、過剰摂取や副作用、自分の体質との相性などにも注目しましょう。やみくもに「身体・美容に良いから」と摂取して思わぬトラブルに繋がらないよう、以下の注意点をあらかじめ要チェックです。過剰摂取でまれに見られる症状
どんなに体に良いものであっても、あからさまに過剰な量を摂取してしまうことで思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。 アスタキサンチンの効果を実感できるレベルのおすすめ摂取量は、1日12㎎以上とされています。従来迄は「1日6㎎以上」とされていましたが、近年の研究結果では12㎎以上の摂取量で、健康や美容などにおける強いサポート力が期待できるとされています。「以上」とされている通り、アスタキサンチンの摂取量には明確な上限が設けられていません。ただしアスタキサンチンを過剰摂取することで、まれに以下のような症状が生じる可能性があるため注意してください。
腸内環境を整える作用があると前述でご紹介しましたが、腸内にアプローチする作用があるからこそ、過剰摂取によって悪影響が及ぶ可能性もあるのです。また、アスタキサンチンの摂りすぎにより、便の色味が赤くなるという報告も挙げ荒れています。
人によってはアスタキサンチンの摂り過ぎで肌トラブルが生じることもあります。コラーゲンの分解を抑えたり紫外線から肌を守ったりする働きはもちろんありますが、肌へのアプローチが肌質を変え、場合によっては今までに起きなかったような肌トラブルの引き金になる可能性もあります。
また、化粧品やサプリメントでアスタキサンチンを摂り入れようと考えている人は、他に含まれている成分にも注目しましょう。
アスタキサンチン自体の過剰摂取にはなっていなくても、他の成分を過剰に摂取してしまっていたり、他の成分に対するアレルギー反応によって身体や肌に異変が起きる可能性もあります。
- 腹部の違和感
- 腸内環境の悪化
- 肌トラブル
持病や服用中の薬がある人は要注意
何らかの持病がある人や、服用中の薬がある人は、アスタキサンチンとそれらの相性について事前に確認した方が無難です。 例えばアスタキサンチンと他の薬との相性が悪く、どちらかもしくは両方の効果が出にくくなったり、吸収率が下がったりといったリスクが生じる可能性があります。 また、現時点ではアスタキサンチンによる重篤な副作用は報告されていないものの、自分でも気づかないような持病があった場合に、アスタキサンチンの摂取が引き金になって副作用やトラブルが生じる可能性は0とは言えません。 食材から摂取する分にはアスタキサンチンの量もそこまで多くはならないでしょうが、サプリメントを使って効率的にアスタキサンチンを摂取する場合は、事前にサプリメントの注意書きや説明文によく目を通しておきましょう。もとから持病がある人や、服用中の薬がある人は、事前に医師にアスタキサンチンとの相性について確認しておくことをおすすめします。
妊娠中・授乳中の人はサプリメントに要注意
食材などから自然にアスタキサンチンを摂取する分には目立った副作用などは報告されていませんが、人為的に製造されているサプリメント形式でアスタキサンチンを摂取する場合には、妊娠中・授乳中の人は注意しましょう。 サプリメントの場合、妊娠中や授乳中の人が服用する場合についての安全性の保証がされていない可能性があります。アスタキサンチンの摂取効率を高めるための他の成分も同様に、妊娠中や授乳中の人との相性や安全性について確認されていない可能性が考えられます。妊娠中や授乳中の人は体がデリケートなため、いつどんなトラブルが生じてもおかしくはありません。赤ちゃんにも弊害が及ぶ恐れがあるため、アスタキサンチンを使おうとしている人は、可能な限りサプリメントではなく食材から天然のアスタキサンチンを摂り入れるようにしましょう。
もちろん食材から摂り入れた天然のアスタキサンチンであっても、妊娠中・授乳中の人はいつどんなトラブルが起きるか可能性が0ではないことを視野に入れた上で、細心の注意を払って利用するようにしてください。
特定の食材にアレルギー反応がある人
厳密にいえば、サプリメントは「医薬品」ではなく「健康食品」に分類される商品です。食品として、食物アレルギーにはよく注意してください。 食材から摂り入れる人は、魚介類や甲殻類の食物アレルギーがないか事前によく確認しましょう。アレルギーは大人になってから意外なタイミングで現れることもあるため、体に異変が生じたら病院で検査してもらってください。 すでに自分のアレルギー体質について把握している人や、サプリメントを使ってアスタキサンチンを摂り入れる予定の人も、原材料をよくチェックして、自分のアレルギー対象がないか確認の上で利用するようにしましょう。 サプリを使う人は、特定原材料やアレルギー物質がパッケージなどに表示されていますから、購入前に確認するようにしてください。エビやカニなどの甲殻類アレルギーのある人で、それでもアスタキサンチンを摂取したいという人は、「ヘマトコッカス藻由来」と記載された天然アスタキサンチンを使ったサプリを、事前に医師の判断を仰いだ上で使ってみてください。
アスタキサンチンはどう摂り入れるのが正解?食材やサプリの違い
アスタキサンチンには様々なメリットがあるため、可能ならより効率的な方法で摂取したいところですね。アスタキサンチンを効率良く摂り入れるためにおすすめの方法について見ていきましょう。効率的に摂り入れるならサプリメントがおすすめ
アスタキサンチンの効果をより実感するために必要な摂取量は、「1日12㎎以上」と前述でもご紹介しました。実際に1日12㎎のアスタキサンチンを食材から摂取しようとすると、イクラならどんぶり4杯ほど、鮭の切り身は12切れほどといった量になります。 とても毎日の食事で自然に補える量ではありませんから、結論から言えばアスタキサンチンはサプリメントから摂取した方が効率的と言えるでしょう。 もちろんサプリメントによっては質の良し悪しがありますし、食材から得たアスタキサンチンは天然由来で体にも優しく経済的ですから、場面や必要に応じて、サプリメントと食材を使い分けるのがおすすめです。 日ごろの食生活でアスタキサンチンを含む甲殻類・魚介類を摂取することは、食生活のバランスを整える上でも大きなメリットです。可能な限りで食材からアスタキサンチンを取り入れた上で、足りない分をサプリメントで補う…という方法が良いでしょう。ただし食物アレルギーなどで甲殻類などが食べられない人や、私生活が忙しくて食材にまで気を使う余裕がないという人は、サプリメントに頼るのも一つの方法です。
サプリメントの選び方やポイント
アスタキサンチンをサプリメントで摂取するなら、様々な会社から製造・販売されているためサプリそのものの選び方にも注目しましょう。 例えば一粒あたりに含まれているアスタキサンチンの量をチェックしましょう。1日あたりの摂取量が目安である「12㎎」に届くかどうか、1日に複数粒を飲む必要がある場合はコストパフォーマンスが良いか悪いかといった点が指標になります。アスタキサンチンは継続して摂取し続けることが大切ですから、続けやすさや手軽に摂取できる含有量の限界などを知っておくことが、サプリメント選びで重要なポイントになります。
また、科学的根拠に基づいて機能性が認められた食品である「機能性表示食品」の記載があるサプリメントを選びましょう。サプリメントと言ってもピンからキリまで様々ですから、できるだけ安全性についての保証がある商品を選ぶことをおすすめします。
ちなみに、「アスタキサンチン配合」のサプリメントの中には、アスタキサンチン以外の健康成分が含まれていることがあります。例えばビタミンDやEなど、アスタキサンチンと同じく抗酸化作用を持つ、日ごろから不足しやすい成分が一緒に含まれたサプリもおすすめです。
サプリは食後の服用で吸収効率アップ
アスタキサンチンのサプリメントを服用するタイミングですが、食後がおすすめされています。 アスタキサンチンは脂溶性のため、脂質と親和性が高く食後の摂取で体に効率良く吸収されやすいという特徴があります。 毎食後に服用するのか、それとも「1日に2回」など回数が限られているのかどうかは、各サプリメントによって異なります。サプリメントの説明書きをよく読んで、服用のタイミングを忘れないように注意しましょう。もちろん過剰摂取にもよく注意して、「1日に〇粒まで」との記載があれば、必ず注意書きを守るようにしてください。
オメガ3系脂肪酸を併用するのもおすすめ
身体に必要不可欠な栄養素として知られている、必須脂肪酸の「オメガ3系脂肪酸」は、アスタキサンチンと同じく体内で合成することができません。そのため外部から摂取する必要があります。オメガ3脂肪酸とは、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの脂肪酸のことです。血液の流れを促進したり、脳や神経の機能維持に必要な栄養素として知られており、食材では青魚に多く含まれています。
どちらも人の目や脳、血管などの健康維持や病気予防に適した成分であり、サプリメントとして一緒に併用する方法もおすすめです。
また、オメガ3系脂肪酸もアスタキサンチンも日常生活で摂取しづらい成分であることから、オメガ3系脂肪酸とアスタキサンチンの両方を含んだサプリメントも販売されています。
相乗効果でより高い健康・美容効果を得たい人は、アスタキサンチンだけではなくオメガ3系脂肪酸の含まれたサプリメントを探してみるのも良いでしょう。
アスタキサンチンを活用できる薬膳・調理法
アスタキサンチンを食材で取り入れる場合、実際にどのような食材を用いて献立を考えれば良いのでしょうか。自炊の習慣がない人もそうでない人も、以下のようなレシピがおすすめです。アスタキサンチンを摂取できるレシピ
- イクラと鮭を使った炊き込みご飯(鮭がしょっぱいので塩分少な目でOK)
- エビチリ(アスタキサンチンの含有量が多いエビが主役)
- 鮭の照り焼き(好みで野菜も加えると栄養バランスが良い)