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記事: フェリチン鉄の効果と効率よく摂取するコツや注意点を解説

フェリチン鉄の効果と効率よく摂取するコツや注意点を解説

体内にはフェリチン鉄といって鉄分を貯蔵するタンパク質が存在します。フェリチン鉄が減ってしまうと、貧血の症状が重くなり、日常生活に支障が出てしまうこともあります。 フェリチン鉄は健康のために重要な役割を担うものです。フェリチン鉄の役割や効果について解説します。フェリチン鉄が減ってしまう原因や減らさないための方法、減ってしまった場合の改善方法についてもお伝えします。

フェリチン鉄は鉄分を貯蔵する役割があり必要に応じて利用される

体には必要なときに利用できるよう、鉄分を貯蔵する仕組みがあります。その役割を担うのがフェリチン鉄です。フェリチン鉄の役割や効果について解説します。

フェリチン鉄は血液を貯蔵する役割がある

フェリチンとは鉄を貯め込むタンパク質で、鉄を貯め込んだフェリチン(フェリチン鉄)は、鉄が必要なときに利用できる調節機能があります。 フェリチン鉄は、脊髄や肝臓、脾臓、心臓や腎、腸の粘膜などさまざまなところに存在しています。フェリチン鉄は余剰の鉄分を取り込み、いざというときに備える働きがあるのです。

フェリチン鉄はなぜ必要?フェリチン鉄が貯蔵されていることの効果

体内に存在する鉄の約70%は赤血球のヘモグロビンの一部となり、酸素を体のさまざまな細胞に運ぶ働きをサポートし、残りの約30%がフェリチン鉄(貯蔵鉄)として、蓄積されます。 体内で鉄分が減少し始めヘモグロビンが作れなくなると、貯蔵されたフェリチン鉄が使われるようなります。フェリチン鉄は体が鉄分不足になったときに効果を発揮するのです。 体内で鉄分が減るとヘモグロビンが生成されなくなり、酸素の運搬に支障をきたします。ヘモグロビンの量が減り酸素が体の組織に運ばれなくなると、体がだるい、疲れやすい、めまいがするなど、さまざまな体の不調が起こります。 フェリチン鉄が貯蔵されていれば、鉄欠乏性貧血による不快な症状を回避することが可能です。
ヘモグロビンとは赤血球に含まれる赤色色素タンパク質のことです。ヘモグロビンは鉄を含む「ヘム」と、タンパク質の「グロビン」で構成されています。ヘモグロビンは体中に酸素を運ぶ働きがあり、鉄分が不足するとヘモグロビンの量が減ると、細胞に酸素が行き渡らなくなってしまいます。

フェリチン鉄で鉄欠乏性貧血を予防できれば体調不良が起こりにくくなる

フェリチン鉄が貯蔵されていれば、鉄欠乏性貧血によるさまざまな体調不良を起こしにくくなるという効果が期待できます。 鉄分が不足し、鉄欠乏性貧血になると、次のような症状が起こりやすくなります。
  • 倦怠感
  • めまい
  • 頭痛
  • 動悸
  • 息切れ
  • 集中力の低下
  • 口角炎
  • 嚥下障害
  • 異食症
  • さじ状爪
  • 眼瞼結膜
  • 顔色が悪くなる
  • シミができやすい
  • 気付かないうちにあざができている など
氷や土、紙などを食べたくなる「異食症」は鉄欠乏性貧血の特徴的な症状の一つです。特に鉄欠乏性貧血の場合、氷を食べたくなる状態が多く見られます。
鉄分不足は脳への血流も悪くしてしまいます。そのため、集中力がなくなったり、疲れを感じやすくなったりするものですが、氷を食べると頭がスッキリして疲れも軽減された気分になるのです。口の中もスッキリして気持ちがよくなるのも、氷を食べたくなる理由と感がれられています。
鉄分が不足すると爪の先が反り返る「さじ状爪(スプーンネイル)」になることも。鉄分不足は爪を弱く、薄くしてしまうこともあるため、爪が反り返ったり、二枚爪になったりすることがあります。
また、鉄分不足は肌の新陳代謝を乱れさせたりするほか、メラニンを分解する酵素ができにくくなったりすることでシミができやすくなります。さらにコラーゲンも不足し、血管や皮膚が弱くなるため、ちょっとぶつけただけでもあざができやすくなることもあるでしょう。 フェリチン鉄がきちんと貯蔵されていれば、それを使ってヘモグロビンを生成できるため、鉄欠乏性貧血を予防することができるのです。

フェリチン鉄は隠れ貧血を防ぐ効果が期待できる

フェリチン鉄が貯蔵されていれば、「隠れ貧血」を予防することが可能です。隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)とは、フェリチン鉄が不足している状態のことで、自分ではなかなか気づきにくいのです。 貧血と診断されるのは、ヘモグロビン濃度が低下している状態ですが、隠れ貧血の場合ヘモグロビン濃度が正常と出ることもあり、一般的な血液検査では見逃してしまうこともあります。 隠れ貧血になっていても初期段階ではそれほど症状が出ません。検査でも異常がなく、貧血を疑われなければ特に対処もしないもの。 そのまま対処をしないと疲れやすい、疲れが取れない、息切れなどの症状が出るようになり、ますます体調が悪化してしまいます。

フェリチン鉄が不足しているかどうかは「フェリチン」の検査でわかる

自分の体のフェリチン鉄が不足しているかどうかは、血液検査でフェリチンの検査でわかります。検査でフェリチンの数値が低ければ、隠れ貧血が疑われます。 検査ではフェリチン、ヘモグロビン、血清鉄などの数値を確認します。
フェリチンの数値が低い 数値が低い場合貯蔵されている鉄分が少なく、放置するとヘモグロビンの生成ができなくなる状態。鉄欠乏性貧血になりやすい
ヘモグロビンの数値が低い 酸素を運搬するヘモグロビンが少なく、疲労やめまいなどを起こしやすい。鉄欠乏性貧血の可能性がある
血清鉄の数値が低い 血液中の鉄分量が少ない状態。鉄分が吸収しにくい可能性がある
血清鉄とは血液の中に含まれる鉄のことです。血清鉄を調べることで鉄分の過不足を確認できます。
以下のような症状が出ている場合は要注意です。
  • 疲れやすい
  • 寝ても疲れが取れない
  • 常に肩が凝っている
  • 頭痛の頻度が高い
  • 立ちくらみが多い
  • めまいが起こりやすい
  • 顔色が悪い
  • 冷え性
  • 目の下にクマができやすい
また、動悸や息切れが多かったり、呼吸が苦しくなったりするようなことがあれば、貧血の症状が悪化しているか、ほかの病気を発症している可能性もあるので、早めに診察を受けるようにしてください。 疲れが取れなくなり、頭痛やめまいなどが起これば日常生活にも影響が出てしまいます。早めに検査をして治療をすれば、鉄欠乏性貧血に移行して症状が悪化させずにすむ可能性もあります。隠れ貧血かもしれないと感じるなら、医療機関で早めの検査をしましょう。

隠れ貧血の治療は鉄剤の投与が一般的

隠れ貧血と診断された場合、原因を改善する治療が行われます。鉄剤が処方されることが多く、食事や生活習慣に原因がある場合は、鉄分やビタミンなどのサプリメントなどを使用することもあります。 治療を初めてから、通常1~2ヵ月で効果が現れることが多いです。しかし、服用をそこで終わりにするのではなく、フェリチン鉄が十分に回復するまで服用を継続します。一般的には、3~6ヵ月間の服用が必要とされています。

鉄分が不足する原因

月経や栄養不足など鉄分が不足する原因はいろいろあります。フェリチン鉄の貯蔵を促すためにも、鉄分不足になってしまう原因について知っておきましょう。

月経による大量の出血で鉄分を失う

月経は毎月大量の出血を伴うため鉄分が不足してしまいます。日本人の成人女性の4人に1人は貧血状態にあると言われ、鉄分不足による鉄欠乏性貧血が女性に多いのもそのためと言えます。 特に過多月経といって、月経の出血量が異常に多い状態は貧血になりやすいです。出血量の目安としては一度の月経で140ml以上の出血があること。 例えば昼でも夜用の生理用品が必要だったり、こまめに生理用品の交換が必要だったり、レバー状の塊が出たりすると、出血量が多いと言えます。また、通常の月経は3日~7日程度ですが、長期に渡り出血が続くと貧血になりやすいと考えられます。 過多月経になるのは次のような原因が考えられます。
子宮筋腫 子宮に良性の腫瘍ができる。出血量が多い、貧血、腹痛、腰痛など
子宮内膜症 内膜組織が卵巣や卵管など子宮の内側ではない場所で増殖する。不正出血、下腹部痛、腰痛、不妊など
子宮腺筋症 内膜組織が子宮の筋肉の壁の中に生じる。月経痛、下腹部痛、腰痛、出血量が多いなど
黄体機能不全 黄体ホルモンが正常に分泌されない。不正出血、月経不順、不妊など
もし、上記のような婦人科系の疾患がある場合は、まずは疾患の治療を行うことです。月経時の出血量は個人差がありますが、出血が多いと感じる場合、また月経痛がひどい場合などは一度診察を受けることをおすすめします。 妊娠中は赤ちゃんの発育に必要な鉄分が優先され、出産時には大量に出血をします。婦人科系の疾患を持っていなくても、女性は妊娠や出産によって鉄分不足になることが多いものです。

ダイエットなどによる栄養不足

ダイエットなどで食事制限をしていると鉄分を十分に摂取できなくなります。食べなければ痩せるという考えだけでサラダだけ、スープだけ、食事の量を減らすなどといった無理なダイエットは鉄分だけでなく、必要な栄養素まで不足してしまいます。 また、特定の食品だけしか食べない、インスタント食品が多い、外食が多いといった食生活も鉄分の摂取量が減りやすく、貧血になってしまうでしょう。

過度な運動で汗を流すことが多い人は鉄分の摂取に配慮が必要

運動で汗を流すのは身体的にも精神的にもよいことですが、汗をたくさんかくと汗と一緒に鉄分が排出されてしまいます。汗をかく場合は、意識して鉄分を摂ることが必要です。 激しい運動や長時間の運動は、体に衝撃をかけるため赤血球が破壊されやすいことも鉄分不足につながります。特に足裏にかかる衝撃で赤血球が壊れてしまいます。 赤血球には寿命があり、壊れてしまう赤血球が多いと必要な数の赤血球が保たれなくなり、鉄分が不足してしまうのです。
赤血球の寿命は120日で、平均すると毎日赤血球全体の1/120が壊され、その分血液を作る工場である‘骨髄’の中で新しく赤血球が作られます。 引用元:大分大学医学部 腫瘍・血液内科学講座 2、 体内での鉄の働き
アスリートのように大量に汗をかくことが多い、激しく体を動かす運動をすることが多い場合は、尿や消化管から鉄分が排出されてしまうことも多いと言われています。貧血対策として適した鉄分の摂取が必要です。

胃潰瘍など消化器からの出血

慢性的に出血を起こすことの多い病気をしていると、フェリチン鉄が不足し貧血になりやすいと考えられます。例えば胃潰瘍やポリープ、がんなどの消化管からの出血、子宮筋腫や子宮がんなど子宮からの出血は、鉄分不足になることが少なくありません。 さらには、大腸の疾患や痔などで慢性的な出血を起こしている場合、鉄分が不足してしまうことがあります。 出血が多いと失った分の血液が必要になりますが、血液が不足すると同時に鉄分も不足し貧血になってしまいます。

ピロリ菌感染は鉄分の吸収を妨げる可能性がある

ピロリ菌に感染しているとフェリチン鉄の不足を招くことがあるとも言われています。
ピロリ菌とは胃に存在する細菌で、胃の粘膜や胃壁を傷つけ炎症を起こしやすくなります。炎症を起こした胃はストレスや外部からの刺激を受けやすくなり、十二指腸潰瘍や胃がんなどを発症するリスクが高まるのです。
ピロリ菌感染は胃酸の分泌の低下や消化機能の低下を招き、鉄分などの栄養素も吸収しにくくなります。ピロリ菌をそのままにしておくと増殖し、さらに鉄分が吸収されず貧血になる可能性があります。 貧血をはじめ胃がんや十二指腸潰瘍などにならないためにも、気になる場合はピロリ菌の検査をしてみるとよいでしょう。

鉄分の吸収を妨げる食品がある

食品の中には鉄分の吸収を妨げる成分が含まれていることがあります。その一つタンニンです。タンニンには鉄と結合する作用があり、腸で鉄分が吸収されるのを阻害してしまう作用があります。 また、シュウ酸やリン酸、カルシウム、フィチン酸なども鉄分の吸収を妨げたり、鉄の吸収をサポートする成分の働きを阻害したりすると言われています。 これらの成分は次のような食品に多く含まれています。
タンニン 緑茶、ウーロン茶、コーヒー、紅茶など
シュウ酸 ほうれん草、さつまいも、ココア、チョコレート、コーヒー、紅茶など
リン酸 ハム、ソーセージ、インスタント食品、スナック菓子、練り製品など
カルシウム 牛乳、ししゃも、チーズなど
不溶性食物繊維 落花生、豆類、いも類、きのこ類など
フィチン酸 大豆、玄米、インゲンマメなど
ただし、近年の研究により、タンニンで阻害される量より、吸収される量は多いということが判明しているのでそれほど気にすることはないとも言えます。気になる場合は、一緒に摂らず、食事の後に摂取するとよいでしょう。

鉄分が足りていても貧血になることがある

鉄分が十分でフェリチン鉄が貯蔵されている状態でも、鉄分の吸収ができにくかったり、フェリチン鉄を利用しにくい状態だったりすると、貧血になってしまうことがあります。

鉄分の吸収率が悪いとフェリチン鉄の貯蔵にも影響がある

鉄分は主に十二指腸で吸収されるため、消化器官にトラブルがあると鉄分の吸収がしにくくなることがあります。 通常、1日に失われる鉄分は約1~2mgです。食事から約1~2mg/日程度の鉄分が十二指腸から吸収されれば、鉄分不足になることはなくフェリチン鉄も貯蔵されます。しかし、消化器官から吸収できないと鉄分不足になってしまいます。 胃や十二指腸の手術後やヘリコバクターピロリ感染、吸収不良症候群などの疾患があると、鉄分が思いうように体内で吸収されません。

造血障害で血液が造れないと貧血になる

骨髄の病気で血液が造れない造血障害があると、貧血になります。 骨髄は赤血球を生み出す工場のようなところです。赤血球が減少すると、全身に酸素を運べなくなり貧血を招いてしまいます。 血液・造血障害には、再生不良性貧血、骨髄形成症候群、腎臓不全、白血病などがあります。

赤血球を破壊してしまう疾患で貧血になることがある

赤血球を異物とみなし攻撃する免疫物質が生まれ、赤血球が破壊されることで貧血になってしまう自己免疫性溶結性貧血という疾患があります。 子どもや女性、高齢の方に多くみられる病気で、ほかの血液の病気や自己免疫疾患にかかっている方が発症するケースがありますが、原因がわからないことも少なくありません。

腎臓の状態が影響する「腎臓貧血」

腎臓の機能が低下すると、エリスロポエチンというホルモンの分泌が減少し、赤血球の生成が減ってしまいます。そのため、貧血になってしまうことがあります。 エリスロポエチンには赤血球の生成を促す働きがあるため、エリスロポエチンが減ると赤血球も減ってしまうのです。腎臓の機能低下が原因で貧血になっている場合、鉄剤などを使用しても改善しない場合があります。 高血圧や糖尿病、腎炎などが原因で慢性腎臓病になると腎臓貧血になることも。慢性腎臓病は初期の段階では自覚症状がないため、症状が悪化しやすくなります。 疲れやすい、倦怠感がある、動悸やめまい、むくみなどの症状があるなら、早めに病院に行って診察を受けることをおすすめします。

ビタミンB12・葉酸欠乏性貧血という貧血もある

貧血というと鉄分不足で起こる鉄欠乏性貧血が知られていますが、鉄分ではなくほかの栄養素不足が原因の貧血もあります。 一つはビタミンB12欠乏性貧血です。ビタミンB12は細胞のDNAの生成に重要な役割を担い、不足すると赤血球細胞もスムーズに成長できなくなります。そのためビタミンB12が不足すると、貧血になる可能性が高くなるのです。 また、葉酸欠乏性貧血といって、葉酸の不足が貧血の原因になることもあります。葉酸もビタミンB12と同様、造血のビタミンとも呼ばれる栄養素で、細胞の生成をサポートする働きがあります。 ビタミンB12や葉酸が不足するとDNAの生成が不十分になり、赤血球も正常に成長しません。そのため、貧血になりやすいのです。

フェリチン鉄を蓄積させるためにも鉄分の摂取は必要

フェリチン鉄の効果を出すためには、フェリチン鉄が蓄積されていなければなりません。フェリチン鉄を貯蔵するには、食品からの摂取が必要です。

鉄分の1日の摂取推奨量

食事からの鉄分を摂取するには、1日にどれくらい摂ればよいのでしょうか?鉄の1日の摂取推奨量は成人男性で7.0~7.5mg、成人女性で6.0~6.5mg(月経がある場合は10.5~11.0mg)とされています。 1日の摂取推奨量は年齢や女性は月経があるかどうかにもよって異なります。
年齢 男性 女性(月経なしの場合) 女性(月経ありの場合)
8~9歳 8.5 8.0
10~11歳 10.0 9.5 13.5
12~14歳 11.0 10.0 14.0
15~17歳 9.5 7.0 10.5
18~29歳 7.0 6.0 10.5
30~49歳 7.5 6.5 11.0
50~69歳 7.5 6.5 11.0
70歳以上 7.0 6.0
(単位:mg/日) 女性は月経や妊娠・授乳などでよりたくさんの鉄分が必要になります。鉄欠乏性貧血にを防ぐには、失われる鉄分の量と吸収できる鉄分の量のバランスが取れていることが必要です。

フェリチン鉄の効果を得るにはヘム鉄と非ヘム鉄をバランスよく摂る

フェリチン鉄の効果を得るには、鉄分を含む食品を摂取し鉄分不足にならないことが必要です。そのためには、ヘム鉄と非ヘム鉄の両方をバランスよく摂取しましょう。
ヘム鉄 タンパク質と結合する。体内への吸収率10~20%
非ヘム鉄 タンパク質と結合せずミネラルとして存在。体内への吸収率は1~5%
多く含む食品
ヘム鉄 牛肉、レバー、うなぎ、カツオ、イワシ、マグロ、あさり、赤貝
非ヘム鉄 緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜など)、大豆製品、海藻、ひじき
体内への吸収率がよいのはヘム鉄なので、ヘム鉄を多く摂った方がフェリチン鉄を増やすには効果的では?と考えるかもしれません。確かに吸収率のよいヘム鉄の方が効率よく鉄分を摂取できるでしょう。 しかし、ヘム鉄は動物性食品に含まれることが多く、非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれるという特徴があります。 鉄分は植物性食品と組み合わせて摂取することで、吸収率がアップすると言われているので、両方をバランスよく摂取することが鉄分を効率的に摂取できるコツです。 特にレバーは鉄分を多く含んでいますが、コレステロールにも注意が必要です。食べすぎないようにしましょう。レバーが苦手という場合は、牛肉や鶏や豚のひき肉もおすすめです。 非ヘム鉄を多く含む緑黄色野菜はビタミンやミネラルも豊富です。大豆製品は良質なたんぱく質を摂取できる栄養素であり、食物繊維も豊富です。 ヘム鉄と非ヘム鉄のどちらか一ばかり摂取していると、栄養バランスが乱れてしまう点にも注意しましょう。

鉄分以外の血液を生成する成分も摂取する

血液を造るのは鉄分だけではありません。ビタミンB6やビタミンB12、亜鉛、銅なども血液を造るためには欠かせない成分です。鉄分とあわせて、それらの成分も摂取しましょう。 血液を生成する成分と多く含む食品は次の通りです。
成分 多く含む食品
ビタミンB6 牛ヒレ肉、豚ヒレ肉、鶏むね肉、レバー、マグロやカツオ、バナナ、ブロッコリー、玄米、イモ類
ビタミンB12 牛レバー、卵、牛乳、あさりやしじみなどの貝類、サケやサバなどの魚介類
亜鉛 牡蠣、豚レバー、油揚げ、卵、牛肉、魚介類、豆腐、玄米
牡蠣、レバー、ナッツ、大豆製品
ビタミンB6やビタミンB12が不足すると、ビタミン欠乏性貧血になってしまう可能性もあります。栄養が偏らないよう、いろいろな食品を食べるようにしましょう。

鉄分を吸収しやすい成分と一緒に摂るのが効果的

鉄分は食事から摂取しにくい成分と言われています。鉄分の吸収率をアップするには、鉄分を摂取しやすいビタミンCと一緒に摂りましょう。 ビタミンCは野菜や果物に多く含まれています。鉄分を多く含む肉類を食べるときは、ビタミンCの多いブロッコリーやほうれん草なども一緒に食べるとよいです。 また、次のようなレシピもおすすめです。
レシピ 使用する食材
レバニラ炒め レバー、ニラ、もやし
チンジャオロース 牛肉、ピーマン、赤パプリカ、黄パプリカ
ひき肉と大豆のカレー 合いびき肉、大豆、タマネギ、ほうれん草、カレー粉
クラムチャウダー あさり、ベーコン、タマネギ、ジャガイモ、しめじ、ニンニク
牛すき煮 牛肉、豆腐、ネギ、卵

漢方薬を選ぶ際は専門家に相談をするのがおすすめ

貧血に効果的と言われる漢方薬があります。複数の種類があるので、専門家に相談をして選ぶとよいでしょう。貧血に効果が期待できる漢方薬には、次のようなものがあります。
漢方薬 おすすめの人
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 疲れやすい、体力がない、食欲がない
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 冷え性で血行が悪い、疲れが取れにくい
加味帰脾湯(かみきひとう) 精神的に不安定、顔色が悪い、よく眠れない
漢方では貧血を「血虚」ととらえ、血を補える働きをする生薬が配合された漢方薬を処方します。また、胃腸の調子がよくない場合は、胃腸の働きに効果が期待できる生薬が配合したものを処方されることも。 貧血といっても原因や改善方法は個人によって異なります。体質によっても適した漢方薬は違うので、漢方薬に関する知識を持った人に、症状や体質などを伝えて適したものを処方してもらいましょう。 医療機関でも漢方薬を処方することも少なくありません。漢方薬は体質改善の効果が期待できるものです。興味がある場合は、医師に相談してみるのもおすすめです。

フェリチン鉄を増やす際の注意点

フェリチン鉄を増やすには食事からの摂取が重要ですが、効率よく摂取するために知っておきたいことや摂取する際の注意点についてお伝えします。

吸収を妨げる食品の過剰摂取はしない

鉄分の吸収を妨げると言われている食品の過剰摂取には注意しましょう。先に述べたように、タンニンを含むコーヒーや緑茶などの摂取には配慮が必要です。 しかし、コーヒーの香りにはリラックス効果があると言われ、精神的ストレスの緩和につながります。コーヒーを飲むと集中力が高まる効果も期待できます。 緑茶は食事のたびに飲むことも多いでしょう。緑茶に含まれるカテキンには殺菌効果や免疫細胞を活性化させる効果が期待できると言われています。
鉄分の吸収を阻害するとはいえ、決して摂取してはいけないわけではありません。フェリチン鉄を増やすためには、過剰に摂取しないことが大切です。

吸収を妨げる食品と一緒に摂らない

鉄分を摂取するには吸収を妨げる食品を摂り過ぎないことのほか、食事と一緒に摂らないことが必要です。緑茶やコーヒーは食後30分~1時間程度待ってから飲む方がよいでしょう。 食事中に水分を摂る場合は、水や麦茶、ほうじ茶などがおすすめです。

鉄分の吸収を促すビタミンCを破壊する栄養素に注意

鉄分を吸収する働きのあるビタミンCを破壊してしまう栄養素にも注意が必要です。アスコルビナーゼという酵素はビタミンCを分解する作用があります。 アスコルビナーゼはキャベツやリンゴ、ニンジン、カリフラワー、春菊などに含まれている成分です。これらの食品にはビタミンCも多く、鉄分の吸収アップには摂取したい食材なのですが、アスコルビナーゼがビタミンCを分解し、吸収アップ効果を弱めてしまう可能性があります。
対策としては加熱するか、お酢やレモン汁などを使って調理をすることです。アスコルビナーゼは熱や酸に弱いため、そのような対策を取れば、ビタミンCが分解されることなく、鉄分の吸収をサポートしてくれるでしょう。

食物繊維は水溶性と不溶性をバランスよく摂る

食物繊維は水溶性と不溶性をバランスよく摂るようにしましょう。 不溶性食物繊維は鉄分と結合し、排せつされてしまう可能性があります。特に植物性食品に多い非ヘム鉄は不溶性食物と一緒に排せつされやすいです。 一方、水溶性食物繊維は鉄分の吸収をサポートしてくれる食物繊維です。食物繊維はどちらかだけを多く摂るのではなく、両方をバランスよく摂取することが大切です。

鉄分の過剰摂取は多臓器不全などの危険性をはらんでいるので注意が必要

フェリチン鉄を貯蔵し、貧血にならないためにも鉄分の摂取必要ですが、過剰に摂取しないようにしましょう。食事やサプリメントなどからの鉄分の過剰摂取は、以下のような健康被害が生じる危険性があります。
鉄は生命に不可欠なミネラルですが、鉄を過剰に摂取すると、重度の症状や肝傷害を引き起こし、さらには死に至ることもあります。 引用元: MSD 家庭版 マニュアル 鉄中毒
鉄分を過剰に摂取すると、肝細胞に蓄積し、複数の臓器が機能不全に陥ることがあります。肝細胞に鉄蓄積すると、細胞を破壊し、がんや糖尿病、心筋症や関節痛、皮膚トラブルなどを起こすことも。 必要以上の鉄分の摂取は鉄中毒や鉄過剰症などになるリスクを高め、消化管や肝臓、心臓、脳にまで影響を及ぼすこともあり非常に危険です。 鉄分を過剰摂取しないためには、特定の食品を過剰に摂るのではなく、さまざまな栄養素を摂取できる食事をすることです。 特にサプリメントでの摂取においては適切な量を守る必要があります。海外製のサプリメントは過剰な鉄分を配合しているケースがあるので注意しましょう。 鉄分のサプリメントだけでなく、鉄分の吸収をよくするビタミンCを必要以上に摂取するのも危険です。摂取量は必ず守って摂ることが重要です。 鉄過剰症など鉄を過剰に摂取している場合、アルコールを過剰に摂取すると肝機能障害といった肝機能に悪影響を与える可能性もあります。

フェリチン鉄は食事からの摂取は難しいのでサプリメントがおすすめ

サプリメントは効率的に鉄分を摂取できる方法です。過剰摂取に注意すれば、フェリチン鉄も貯蔵でき、貧血予防になるでしょう。

食事から鉄分を摂取するのは難しい

食事だけから必要な鉄分を摂取するのは難しいことです。
1日の食事には、約20~30mgの鉄分が含まれていますが、そのうち吸収されるのは約5~10%、1mg程度に過ぎません。 引用元:慶應義塾大学病院 KOMPAS 鉄欠乏性貧血、その他の造血因子不足による貧血 生活上の注意点
食事だけで必要量を確保するのが難しいのは、鉄分が体内に吸収しにくいことも要因の一つです。特に月経や妊娠、病気などでたくさんの血液が必要なときには、鉄分不足になってしまうことも少なくありません。 また、ダイエットなどをしていれば、必要な量の鉄分の摂取は困難です。運動のしすぎで過剰に汗をかくことが多いと、鉄分が体内にとどまらず結果鉄分不足になってしまいます。
鉄分を摂取できたとしても、それがすべてフェリチン鉄として蓄積されるわけではありません。食事から摂取した鉄分は約7割がヘモグロビンに利用され、残りがフェリチン鉄として貯蔵されます。
フェリチン鉄をキープするには、しっかり鉄分を補給することが必要です。鉄分を手軽に効率よく摂取するには、サプリメントを利用するのも一つの方法でしょう。

フェリチン鉄サプリメントは安心して使用できるものを選ぶ

フェリチン鉄を補給できるサプリメントを選ぶ際には、安全性の高いものを選ぶようにしましょう。サプリメントからの鉄分摂取は、量に注意しなければなりません。 特に海外製の鉄分サプリメントには注意が必要です。 国民生活センターにも医師からの事故情報が寄せられています。
  • 鉄サプリメントにより一日54~108mgの鉄を約3年間摂取した結果、続発性鉄過剰症と診断された。
  • 鉄サプリメントにより一日36mgの鉄を約11カ月摂取した結果、鉄過剰状態と肝機能障害が疑われた。
引用元:独立行政法人 国民生活センター 海外事業者の鉄サプリメントの長期使用により鉄過剰症を発症
海外製のサプリメントの場合、使用方法に記載されている通りに使用すると、日本人の1日の摂取推奨量をはるかに超える鉄分を摂取することになるケースがあります。 海外製品の場合、説明書が英語のみで書かれている場合もあり、詳細がわからないまま使用してしまい結果過剰摂取になったり、効果が出なかったりすることもあります。
一方で、国内製品がすべて安全とは限りません。安全性が認められているサプリメントを選ぶ目安としては、GMPマーク(品質基準を満たした工場で生産されていることが認証されている)がついているものを選ぶことです。
また、香料や着色料など添加物が配合されていないことも示しているものがおすすめです。無添加と書かれていても、何が無添加なのかきちんと表示されているかどうかも確認しましょう。

貧血予防の生活習慣を身につけて鉄分不足にならないようにする

フェリチン鉄を減らさないためには食事に注意するほか、鉄分を吸収しやすい体になることが必要です。そのためにも、生活習慣を見直してみましょう。

インスタント食品などを控え栄養バランスの取れた食生活をする

フェリチン鉄を蓄積するには栄養バランスを考えた食生活が大切です。鉄分を含む食品を取り入れると同時に、タンパク質や炭水化物、ビタミンなども摂取できる食事をしましょう。 目安としてはお肉、魚、野菜、ご飯、豆類などをどれかに偏ることなく、バランスよく食べることです。インスタント食品ばかり食べていると鉄分が吸収されにくくなってしまうので注意しましょう。

食事制限を伴うダイエットはしない

食事を摂らない、極端に食事の量を減らすなどのダイエットは控えましょう。鉄分も不足しやすくなるだけでなく、体調を崩してしまいます。 栄養不足は消化器官をはじめさまざまな器官の働きが鈍くなってしまいます。食べたり、食べなかったりすると胃腸に負担がかかり、鉄分の吸収も阻害され鉄分不足の体になってしまうでしょう。

睡眠をしっかり取って鉄分の吸収をアップ

睡眠不足は成長ホルモンの分泌を減らし、細胞の生まれ変わりや修復機能を低下させてしまいます。それは赤血球の生成に重要な血液細胞の機能低下にもつながります。 また、睡眠不足で疲れが取れなかったり、イライラしたりすると胃や腸などに負担がかかり、結果、鉄分の吸収を妨げることになるのです。 夜はスマホなどを見過ぎず早めに寝て疲れを残さないようにしましょう。

適度に体を動かして血行をよくする

過剰な運動は鉄分不足につながりますが、適度な運動は血液循環をよくして鉄分の吸収をよくします。ウォーキングやヨガなど、定期的に体を動かす習慣を身につけましょう。 運動をする時間が取れないという場合は、日常生活の中で意識して体を動かすことが大切です。
  • 歩くときは早歩きをする
  • エレベーターを使わず階段を使う
  • 掃除をするときは腕を伸ばす体を大きく動かす
  • デスクワークの場合は1時間ごとにストレッチをする
  • 電車の中ではつま先立ちをキープ
ちょっとした時間に少し体を動かしたり、ストレッチをしたりするだけでも、血行がよくなります。こまめに体を動かして鉄分をしっかり吸収させましょう。

定期的に貧血の検査を受ける

特に月経や疾患などで出血量が多い人や貧血の症状がある人は、定期的に貧血の検査を行うことをおすすめします。フェリチン鉄が減少している場合、放置しておくと鉄欠乏性貧血になってしまいます。 もちろん、出血量が多いなどの状態ではなくても、定期的に健康診断を受け貧血になっていないかどうかを確認すると安心です。隠れ貧血になっていても自覚症状がないことが多いものです。不安があれば医師に相談してみるとよいでしょう。

「フェリチン鉄の効果」に関するよくある疑問

「フェリチン鉄の効果」に関するよくある疑問を集めてみました。参考になさってください。

Q フェリチン鉄は体にどのような効果があるのですか?

A  フェリチン鉄は鉄分を蓄え、必要なときには貯蔵された鉄分を放出する働きがあります。体内に必要以上の鉄分があればそれを吸収し、鉄分不足になれば必要な鉄分を放出します。フェリチン鉄が貯蔵されていれば、鉄欠乏性貧血を防ぐことが可能になります。

Q フェリチン鉄の改善にはどれくらいの期間がかかりますか?

A 通常、1~2ヵ月程度で効果が現れることが多いですが、フェリチン鉄が十分に補充されるまで治療を継続することになります。個人差はありますが、3ヵ月~半年、長い場合は1年程度かかることもあります。

Q フェリチン鉄が不足しているとどのようなデメリットがあるのですか?

A 鉄欠乏性貧血になりやすくなります。鉄欠乏性貧血になると、疲れやすい、めまい、頭痛、食欲不振、だるい、集中力の低下、異食症などさまざまな体の不調が起こります。

Q フェリチン鉄を改善するにはどうしたらよいですか?

A 医療機関で診察をしてもらい、必要に応じて鉄剤やビタミン剤、サプリメントなどによる治療を始めましょう。さらに、鉄分を摂取できる食品を意識しながら、栄養バランスの取れた食事をすることです。適度な運動や規則正しい生活をすることも必要です。

Q フェリチン鉄が減ってしまう原因は何ですか?

A 鉄分の排出が多い、鉄分の摂取が足りない、といったことが主な原因です。月経や病気などで出血が多かったり、妊娠や授乳、アスリートのような激しい運動で鉄分の消費が多かったり、ダイエットで鉄分が摂取できなかったりすることが原因となることもあります。 また、病気で鉄分を吸収できない状態が続くと、フェリチン鉄も減ってしまいます。

鉄分の摂取を心がけフェリチン鉄の減少を防ぐ

鉄分不足で貧血になると、倦怠感や疲労、頭痛やめまいなど、仕事や日常生活に影響が出てしまうくらい体調を崩してしまうことがあります。そうならないためにも、フェリチン鉄をしっかり貯蔵できる体になることが大切です。 特に出血が多い状態の場合は、鉄分が失われやすくなります。鉄分を摂取できる食品を把握し、栄養バランスを考えた食生活をするようにしましょう。 通常の検査で貧血と診断されなくても、フェリチン鉄が減っている「隠れ貧血」の可能性もあります。貧血かもしれないと感じたら検査を受け、適切な治療を受けることをおすすめします。

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