ルテインの効果や摂取方法を解説。目や脳の健康維持、肌質を
スマホやPC、タブレットなどの液晶端末を使うことが増えた昨今では、眼精疲労や視力の低下を訴える人が増加傾向にあり、深刻化しています。
特にドライアイや眼精疲労に加えて、40歳を過ぎると始まる老眼などのトラブルに注目すると、なるべく早い内から目の健康に気を使うことが大切です。
「ルテイン」は、目の健康を維持したり、目に関する病気や症状、トラブルを予防・改善に導く効果が期待されている成分です。この記事では、ルテインについて特徴や働き、具体的な摂取方法についてご紹介していきます。
ルテインとは？ カロテノイドの一種である天然色素
まずはルテインとはどのような成分なのか、位置づけや働きなどについて見ていきましょう。ルテインは「ファイトケミカル」の一つ
まず、植物由来の化学物質の一つとして「ファイトケミカル」と呼ばれる成分が存在しています。ファイトケミカルは植物由来の色素や香り、辛み、ネバネバとした性質を持つ成分のことです。これらは植物が独自に自身にとって有害な紫外線・昆虫などどから身を守るために作り出されたものであり、人の体に取り入れることでも良い作用が与えられると考えられています。
実際に人の健康維持・管理に役立つファイトケミカルとして、以下のような成分が挙げられています。
- アントシアニン
- イソフラボン
- カロテン
- リコピン
- ルテイン
- イソチオシアネート
強い抗酸化作用を持つ成分
ルテインのようなファイトケミカルは、強い「抗酸化作用」を持っていることで知られています。抗酸化作用とは、人の身体を細胞単位から若々しく健康に保つ働きが認められている作用のことです。人の体は酸素を取り入れてエネルギーを生み出す過程で、「活性酸素」を体内に生み出しています。活性酸素は年齢と共に増加していき、細胞を傷つけて肌のシワやしみ、動脈硬化や老化を悪化させるリスクが懸念されています。
細胞が酸化するということは、「錆びつく」という意味にも繋がります。つまり活性酸素によって細胞が錆びつくと、老化や生活習慣病のリスクが高くなってしまうというわけです。
通常、活性酸素は体内の酵素によって分解されますが、活性酸素の生成量が多かったり、加齢とともに身体機能が衰えてきたりすると、分解が間に合わず細胞が傷ついてしまいます。
そんな活性酸素の働きを抑える成分として認められているのが、「抗酸化作用」です。ルテインに含まれている抗酸化作用は、活性酸素から体を守る働きが期待できるため、身体の老化や病気などのリスクを下げる効果が期待されています。
年齢と共に活性酸素に抗う力が弱くなっていってしまいますから、特に加齢とともにルテインのような抗酸化作用を持つファイトケミカルの摂取が重要になってくるでしょう。
人の目の中に存在し、目を守るのが働き
ルテインは食材にも含まれていますが、実は人の目の中にも存在している成分です。人の目の中には、ルテインとゼアキサンチンと呼ばれる2種類のファイトケミカルが存在しています。ルテインは「黄斑部」や「水晶体」と呼ばれる、人の網膜内に高濃度で存在しています。
ルテインは体内で合成することができない成分ですから、食事やサプリなどで外部から摂取することが必要です。
人の目の中にあるルテインは、現代人がよく使用しているPCやスマートフォンなどの液晶から発生する「ブルーライト」を吸収し、網膜や黄斑部へのダメージを和らげる働きを持っています。
ブルーライトは頭痛や目の乾燥・かすみといった目の不調（眼精疲労など）を引き起こすリスクがあるため、特に液晶画面を見つめる時間の多い現代人には、ルテインの働きが重宝されています。
ブルーライトによって目がダメージを受けると、以下のような症状を引き起こす可能性があります。心当たりのある人はよくチェックしましょう。
- 目の乾燥
- 目のかすみ
- 眠りが浅い
- 寝つきが悪い
- 頭痛
- 肩こり
- 腰痛
ルテインは加齢とともに減少する
ルテインは、目のレンズの役割を果たす「水晶体」に含まれている成分です。ルテインは人の目の中に生まれた時から存在していますが、加齢とともに減少する傾向があるため、減少量を補うためには食事やサプリなどで量を補う必要があります。 また、以下のような生活習慣によってもルテインは減少していく傾向があるため注意しましょう。- 喫煙
- 紫外線
- ブルーライト
ルテインがたくさん含まれている食品
ルテインを日ごろから積極的に摂取する方法として、食材から取り入れる方法がおすすめです。もともとルテインは人の目の他にも、以下のような野菜に多く含まれています。- にんじん
- ほうれん草
- ブロッコリー
- アボカド
- 小松菜
- モロヘイヤ
- ヨモギ
- ケール
ちなみにサプリメントに使用されているるていんの多くは、「マリーゴールド」という花の花びらです。中でも、インドで栽培される「アフリカンマリーゴールド」にはルテインを始め、多くの栄養成分を含んでおり、サプリメントなどに多く使われています。
ルテインに認められている人の目へのアプローチ
ルテインの抗酸化作用は人の体に様々なメリットをもたらしますが、もともと人の目に存在する成分である通り、人の目や視力などにメリットがあります。 眼科医などもサプリメントを通してのルテインを推奨するほどの、ルテインの目に対するメリットについて見ていきましょう。目の健康維持や病気の予防につながる
人の目に含まれているルテインは、水晶体に集中しています。水晶体は近くを見るときに厚くなり、遠くを見るときは薄くなることで視界のピントを調整しています。 水晶体にルテインの量に比例して水晶体の働きが悪くなることもあります。具体的に言えば、ものが歪んで見えるようになったり、中心部の視野が失われたりといった事態に陥る可能性もあります。 また、後述する「加齢黄斑変性症」や「白内障」といった病気の他、緑内障などの目の疾患にかかるリスクが高くなってしまうため要注意。また、ルテインが不足すると日ごろから眼精疲労を感じやすくなったり、視力の低下に繋がったりといったリスクもあります。ルテインはそうした目の病気やトラブル予防に貢献し、目の健康維持に役立てられているのです。
ブルーライトから目を守る
ブルーライトとは、文字通り「青色の光」のことです。光にはいくつかの種類があり、人の目に見えるもの（可視光線）とそうでないもの（不可視光線）に分けられます。 ブルーライトは可視光線の中でも最も波長が短い光線として知られており、人が目であまり意識しないことがほとんどです。ブルーライトは以下のようなものから発せられる光です。
よく「ブルーライトが目や脳に悪影響を及ぼす」といわれていますが、実際には太陽光からも発せられる光であるため、太陽光を浴びて体内時計を整えたり、自律神経を穏やかにしたりといった効果もブルーライトには存在します。
ただし現代人の多くは、昔よりもスマホやPCなどの液晶画面からブルーライトを浴びることが多いため、必要以上にブルーライトを浴びてしまい、目や脳に負荷をかけてしまうことが懸念されているのです。
- スマホやPCなどの液晶画面
- 太陽光
ブルーライトは波長が短い可視光線のため、空気中のほこりや水分などに反射しやすい点が特徴です。その反射が人の目にはまぶしさ・ちらつきとして映りやすいため、目のピント調整機能に負荷をかけやすくなってしまっているのです。
ブルーライトを浴びすぎると、目が疲れやすくなり、眼精疲労による肩こりや頭痛、自律神経への悪影響で睡眠不足などに繋がる可能性があります。
ルテインはブルーライトに対抗し、人の目からブルーライトの影響をカットするフィルター的な役割を持っています。そのため、ブルーライトによる目への悪影響を防ぎ、目の健康を維持する効果が期待されています。
日ごろからスマホやPCなどを使うことが多い人はもちろんですが、外出が多く太陽光によるブルーライトを浴びる機会が多いという人も、ルテインを多く取り入れるように意識すると良いでしょう。
加齢黄斑変性（AMD）の予防につながる
加齢黄斑変性症（AMD）は、高齢者に多くみられている目の病気の1つであり、視力の中心とされている「黄斑部」にダメージを受けてしまうのが特徴です。欧米では中途失明の原因である疾患として第2位にあげられており、近年では高齢化に伴って日本でも患者数が急増しています。目の内側には「網膜」と呼ばれる、ものを見るためのフィルム的役割を果たす膜があります。網膜の中心部が「黄斑部」と呼ばれるものであり、細かなものを識別したり、色を見分けたりといった働きを持っているため、網膜の中でも最も大切な部位です。
加齢黄斑変性症は、老化に伴って網膜の中心部に出血やむくみが生じることにより、視力が低下してしまう病気です。症状が進むと最悪の場合は視力回復が不可能になってしまうため、早期予防が欠かせません。
加齢黄斑変性症の予防策として、ブルーライトや紫外線などのダメージから目を守るルテインの摂取が推奨されています。食事はもちろん、サプリメントによるルテインの積極的な摂取でも加齢黄斑変性症の予防効果が期待できます。
加齢黄斑変性症の予兆があるかどうか、すでになっていないかどうかは、眼科で眼底検査を行うことで判明します。もし視力の低下や目のかすみなどの兆候が見られたら、一度眼科で検査してもらい、医師と相談しながら予防対策を行いましょう。
白内障のリスク低減につながる
前述の通り、ルテインは人の目の中でも水晶体に含まれ、目としての機能を持っています。水晶体は外部からの光を集めてピントを合わせるのが主な働きであり、通常は透明な色をしています。 白内障は、水晶体の中に含まれるたんぱく質が変性して濁ってしまう病気のことです。水晶体が透明であるほど光を正確に通してピントを合わせられるようになりますが、水晶体が濁ってしまうことで光が乱反射し、網膜に鮮明な像を結べなくなることで、視力の低下につながってしまいます。
白内障の症状は、以下の通り人によって様々なものが挙げられるため、思い当たる節がある人は要注意です。
- 目がかすむ
- 視界が暗くなる
- ぼやけて見える
- 視力が落ちる
- ものが二重や三重に重なって見える
- 光を眩しく感じすぎる
眼精疲労や視力低下のリスク予防につながる
近年は在宅勤務などで自宅でもPCやスマホなどに向かい合う時間が増えたり、若い学生でも授業にタブレットを使用することが増えたことなどで、老若男女を問わず誰にでも眼精疲労のリスクがあります。 眼精疲労になると肩こりや頭痛・ドライアイといった症状だけではなく、視力の低下など様々なトラブルを招きます。眼精疲労の予防策としては、マッサージや目の休憩・体操、ブルーライトカット眼鏡なども挙げられますが、ルテインを摂取する方法も効果的です。 目が疲れやすい生活をしている人は、ルテインを含む食材やサプリメントなどで眼精疲労を予防しましょう。 加齢とともに減少する成分を補うだけではなく、ルテインにはブルーライトをカットして眼精疲労の原因に対抗する効果も期待できます。もちろん眼精疲労は「加齢に伴うもの」だけではなく、若い世代でもよく液晶を眺める人ほどリスクが高まります。若い世代の人も、早い内から積極的にルテインを取り入れましょう。ルテインが持つ体全体の健康維持や病気のリスク軽減効果
ルテインは人の目に含まれていることから「目に良い成分」といわれることが多いですが、人の体の他の部位にも良い影響を与えることで知られています。 ルテインが持つ、目以外の体の健康効果について見ていきましょう。脳の健康維持や認知機能の向上につながる
ルテインを含むカロテノイド系のファイトケミカルが、脳の健康維持や認知機能の維持・向上に繋がる可能性があることが様々な研究結果を通して判明しています。例えば食事と認知能力の関連を追跡調査した研究では、アルツハイマー型認知症の発症リスクが低いのはジャンクフードの摂取量が少なく、野菜や魚・ナッツ類をバランスよく食べていたグループであることが分かっています。
中でもルテインを含むカロテノイドを多く摂取している人ほど、アルツハイマー型認知症の発症リスクが50%低いという結果が明らかになっています。
また、乳幼児の成長に関しても、受胎前に葉酸とルテインを一緒に摂取することで、神経管欠損妊娠のリスクが減少しているというケースや、母乳中のコリン・ルテイン量が高い6か月乳児の認知記憶能力が高いという研究結果が出ています。
ルテインは目の健康も維持しますが、脳にも選択的に取り込まれて認知機能や考える力を高めるサポートをしています。つまりルテインは高齢者や若年性のアルツハイマーのリスクを防ぐだけではなく、人の脳の働きそのものにメリットを与えると考えて良いでしょう。
脳の老化防止のためだけではなく、若い内から脳の認知機能を高めるためにも、年齢に関係なく若い内からルテインを摂取すると良いでしょう。
抗酸化作用による老化の防止
上記でも解説した「活性酸素」は、人を細胞単位で酸化させ、老化を早める働きがあります。活性酸素による老化の早まりとして、以下のような兆候が見られます。
活性酸素によるダメージをそのまま放っておくと、最悪の場合はがんなど命にかかわる病気に発展することもあり得ます。ルテインの持つ抗酸化作用は、活性酸素による悪影響を防いで、あらゆる身体の老化症状を予防・対策する働きが期待されています。
ルテインが予防に役立つ老化症状の中には、もちろん老眼なども含まれています。体の衰えが気になっている人や、若い内から予防しておきたい人などは、日常生活からルテインを摂取しておくことをおすすめします。
- 脳の老化（記憶力や認知力の低下）
- 心疾患（心筋梗塞や不整脈など）
- 呼吸器疾患（肺炎や肺気腫など）
- 生活習慣病（糖尿病や脂質異常症など）
- 肌のシミやしわ
- 抜け毛や髪の毛の傷み
皮膚の健康維持や老化防止
上述の通り、活性酸素がもたらす老化症状の一つに「肌のシミやしわ」といった、皮膚そのものの老化があげられます。例えば肌を持ち上げるための筋繊維などが老化して、肌が垂れ下がりシワになってしまいやすくなります。また、紫外線ダメージなどが蓄積された状態だと、色素沈着がそのまま残ってシミになったりすることもあるでしょう。
見た目で分かる皮膚の老化は、人によって大きなコンプレックスになるでしょう。ルテインは体の内側から皮膚の老化を防ぎ、若々しく健康的な肌質を維持することに貢献してくれます。
また、皮膚が老化することでバリア機能の低下や免疫系の変化などが生じ、高齢になってからアトピー性皮膚炎が生じる患者もいます。こうした皮膚に関する病気の予防にも、ルテインの持つ抗酸化作用がアプローチしてくれるでしょう。
心血管系の健康維持
心血管とは、心臓に繋がっている血管や心筋のことです。心血管系の疾患は狭心症や心筋梗塞などが挙げられており、日本人の子音の第2位として挙げられています。中でも心筋梗塞は、突然死の最大の要因であるとされています。ルテインは目だけではなく血清中に存在しており、動脈硬化の一つの要因とされている「動脈壁の肥厚」に影響するという研究が行われています。高濃度の血清中ルテインは、動脈壁の薄さに関連しているとされており、つまり動脈硬化を起こしづらくなる効果が期待されているというわけです。
また、動脈硬化自体が生活習慣病の一つであり、人の体の老化や活性酸素の影響を受けています。抗酸化作用で動脈硬化を防ぐことで、心血管系の健康維持に貢献するのが、ルテインの持つ健康効果の一つとして提唱されているのです。
動脈硬化は血中コレステロールの酸化も理由の一つですが、ルテインは善玉コレステロールに含まれており、悪玉コレステロールの酸化を防ぐと考えられている点も、心血管系の健康維持につながると考えられている理由です。
ちなみにルテインと心臓の関係性についてはすでに古くから研究されており、例えば1994年に行われた研究では、フランス人に心疾患率が低い理由の一つとして、ルテイン含有量の多いほうれん草などの食品摂取が挙げられています。
生活習慣病の予防
「成人病」という言い方でも知られている生活習慣病とは、一人ひとりの食習慣や運動習慣などのライフスタイルが原因で起こり得る疾患のことです。生活習慣病の一例として、以下のような疾患が挙げられます。
生活習慣病は、食べ過ぎや運動不足、睡眠不足といった要因の他にも、喫煙や飲酒、過度なストレスなどが原因の一つとされています。
ルテインは細胞単位で活性酸素から体の健康を守り、生活習慣病の予防法に活用できるとして現在進行形で様々な研究が行われています。
また、ルテインを用いた感情的・身体的健康の度合いについての研究が行われたケースでは、ルテインを含むカロテノイドを摂取したグループの方が、心身ともに健康であったというデータが挙げられています。
つまり生活習慣病のリスクが高い、普段から忙しくて生活リズムが不規則な人や、ストレスを溜めやすい人にも、ルテインによる健康効果が期待できるということですね。
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- くも膜下出血
- 糖尿病
- 高脂血症
- 肥満
- 肺気腫
- アルコール性肝疾患
美容関連でも注目されているルテインの効果
身体の健康効果が高いことで注目されているルテインですが、身体の内側だけではなく外側の美しさにも効果があることが分かっています。いつまでも美しく若々しい外見を保つための働きを持つ、ルテインの効果についてご紹介します。ブルーライトによる肌ストレスの軽減
化粧品メーカーが行った、肌の酸化ストレスを高精度に可視化できる「バイオフォトン測定技術」と皮膚中成分の分析により、ブルーライトは目だけではなく肌にも悪影響を及ぼすことが判明しています。スマホやPCなどの液晶画面から発せられるブルーライトも含まれますが、太陽光から発せられるブルーライトはさらに強度が高く、肌に酸化ストレスをもたらすことがわかりました。
つまりブルーライトによって肌が酸化・ダメージを受けることで、肌のうるおいやツヤ感、透明感、ハリといった美肌要素が失われるリスクがあるというわけです。
ルテインは人の目に存在していますが、体の内側に取り入れるだけではなく、皮膚など外側に塗布して成分を浸透させることも可能です。
つまり、ルテインを体の内側・外側から取り入れることによって、肌をブルーライトから守り、肌質の低下を防ぐ効果が期待できます。
日ごろからブルーライトを浴びることの多い生活をしている人は、目の健康や自律神経だけではなく、肌の調子にも気を配っておきましょう。ルテインの持つ抗酸化作用と、ブルーライトをカットする作用が、若々しい肌質の維持に役立ってくれますよ。
コラーゲンの分解を防いで肌のハリや弾力を維持
美肌効果のある成分といえば、「コラーゲン」は有名ですね。ルテインには抗酸化作用や肌をブルーライトから守る作用があるため、肌の内側にあるコラーゲンを守る効果が期待されています。コラーゲンは肌や骨、血管、角膜など人の体の部位を構成するたんぱく質の一種です。繊維状のタンパク質であるコラーゲンは、水分の保持や体温の保持といった役割を持っており、肌のハリや弾力を守る働きをしています。
体内に存在するコラーゲンは、加齢とともに減少していく傾向がみられています。また、紫外線や乾燥などの肌ダメージでもコラーゲンは減少する傾向があるため、ルテインを摂取することでコラーゲンを守ることは、皮膚のうるおいやハリを維持することにもつながります。
実際にルテインの摂取は皮膚の健康維持に水分量を促し、光ダメージから肌を守る役割を持つため、みずみずしく弾力のある肌質を保つ助けとなるでしょう。
ルテインの他にも、直接コラーゲンやビタミンCなどの保湿成分をたっぷり含んだ化粧水・乳液などを肌に塗布すると、より肌のうるおい保持につながりやすいでしょう。
血行を促進して肌のくすみを防ぐ
前述の通り、ルテインは動脈硬化などの生活習慣病を防ぐ働きがあります。動脈硬化は血管内の血の巡りが悪くなる症状があらわれることから、つまりルテインの積極的な摂取で血の巡りを良くする効果が期待されています。また、ルテインの持つ抗酸化作用により血管や心臓などを構成する細胞の若々しさ・健康が保たれ、全体的な血の巡りを良くする効果が期待できるのも、血行促進につながる一要因です。
血の巡りが良くなると、肌に栄養素が運ばれやすくなり、新陳代謝がよくなります。血流促進により肌質の健康を補ったり、古い細胞を新しくしたりといった効果が期待できるようになると、肌の質が良くなるでしょう。
例えば栄養成分が十分に運ばれれば、肌のうるおいやハリ、色味などがクリアになり、見た目にも若々しい肌を維持できます。また、古い角質などが肌表面に留まってしまうことが少なくなるため、日焼けやダメージなどで生じたくすみや色素沈着の予防にも繋がり、美白効果も期待できます。
色素沈着とは、皮膚が紫外線や外部から受けたダメージなどによって「メラニン」を生成し、そのまま皮膚に残ってしまうことを言います。原因は日焼けだけではなく、ニキビ跡や敏感肌・乾燥肌などにも由来します。
紫外線ダメージから肌を守る
ルテインは目だけではなく肌にも含まれ、紫外線やブルーライトなどの光ダメージから肌を守っています。また、紫外線ダメージによってコラーゲンが減少してしまうのを防ぐことにも繋がるでしょう。 ルテインを事前に摂取・塗布することで紫外線対策になる他、紫外線ですでにダメージを受けた肌のアフターケアにもルテインが役立ちます。 例えば紫外線対策として、ルテイン配合の日焼け止め美容液などがすでに販売されています。また、日焼けによる肌のくすみなどを改善するための美白化粧水・美容液などにもルテインは多く活用されています。 もちろん外側から塗布するタイプのものだけではなく、日ごろの食生活やサプリメントなどを使って、体の内側からルテインで紫外線ダメージから肌をバリアする方法も、美肌効果に繋がるでしょう。また、肌の日焼けは肌に直接紫外線を浴びることだけではなく、目に紫外線が入ることでも悪化します。角膜が紫外線を吸収することにより、脳が「メラニン色素を生成すべき」と判断してしまい、肌が焼けてしまうのです。
ルテインは目を紫外線から守る働きもあるため、肌に受ける紫外線ダメージだけではなく、目からの紫外線ダメージを予防する効果も期待できますね。
ルテインを日常的に効率良く摂取・活用する方法
ルテインを日常的に摂取していくなら、やはり効率的な方法で活用していきたいところです。ルテインの効率的・効果的な摂取方法について見ていきましょう。ルテインの摂取量は1日4㎎～7㎎が目安
どんな栄養素や成分にも、1日の内に摂取すべき目安となる量が存在します。少なすぎても効果が出ませんし、多すぎても副作用のリスクが高まったり、摂り過ぎた分が無駄になったりしてしまいます。 ルテインの適当な推奨摂取量はまだ一般的に定められていませんが、アメリカ農務省出は1日に4㎎～7㎎のルテイン摂取を推奨しています。実際にルテインを用いた研究などでは、1日に6㎎のルテイン摂取で加齢黄斑変性症のリスクが軽減されたというデータが報告されています。
ちなみにルテイン6㎎は、生ほうれん草58g以上に相当し、これはサラダボール2杯以上もほうれん草を食べなくてはなりません。実際に1日に6㎎以上ものルテインを摂取するのは、普段の食生活では難しいことといえるでしょう。
日頃の食生活でルテインの含まれた食材を使う
ルテインが主に含まれているのは、ほうれん草やブロッコリー、にんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜です。また、卵黄などにも含まれていることが分かっています。 日ごろの食生活でルテインを効率良く摂取するなら、ルテインが含まれた食材を複数使った、調理済みの料理を食べましょう。ルテインは細胞構造内に閉じ込められているため、調理した野菜の方が細胞壁がほぐれ、ルテインが体に吸収される効率が高まります。ルテインを効率良く摂取する調理法として、以下のポイントを踏まておきましょう。
例えば緑黄色野菜をたっぷり使ったスープや天ぷら、炒め物などがおすすめです。成分によっては加熱で栄養が少なくなってしまうこともありますが、加熱しても摂取できる栄養が減らないのがルテインのメリットですね。
もちろん「加熱しなければならない」ということはありませんから、オイルの含まれたドレッシングなどを使ったサラダにしてもOKです。
炒め物に揚げ物、煮物など様々な調理法が選べますから、和食・洋食・中華など、いろんなレシピに合わせやすく食べやすいでしょう。
- 油と一緒に摂取する（ルテインなどのカロテノイドは油に溶けやすいため）
- 加熱しても栄養素は損なわないため、火は使ってOK
- 炒め物や揚げ物として調理する
- オイルが入ったドレッシングなどを利用する
- 野菜のスープなどは野菜のカサが減るため、多く摂取しやすい
ルテインの吸収効率を高める栄養を摂り入れる
ルテインをはじめ、一つの栄養素を効率良く摂り入れる際には、別の栄養素で吸収効率や効果を補うのが効果的です。 体内での吸収や分解を手助けする他の成分や、他の働きを持つ成分を一緒に摂取することで、相乗効果が生まれてよりルテインの働きを引き出しやすくできるでしょう。ルテインと一緒に摂取するのがおすすめなのは、以下のような成分です。
ルテインは野菜から摂取することが多いですが、他の野菜や魚類なども積極的に摂り入れることで、よりルテインの効果が期待できるというわけですね。
- 油分（各種オイル）：ルテインの吸収効率を高める
- ゼアキサンチン：パプリカなどの緑黄色野菜に含まれ、ルテインと同じく抗酸化作用を持つ
- アスタキサンチン：サケやカニ、エビなどに含まれる。抗酸化作用が強く紫外線対策に効く
- DHA（ドコサヘキサエン酸）：目の網膜細胞を正常に保ち、青魚に含まれる。ルテインの吸収効率も高める
もちろんルテインにだけ着目して野菜中心に食生活が偏らないよう、肉や炭水化物なども適度に摂り入れ、健康的な食生活を心掛けましょう。
サプリからルテインを摂取する
食事や食材からルテインを摂取することは、自炊や食材の取捨選択の手間がかかるため、人によっては面倒に思うこともあるでしょう。 ルテインを効率的に一度で摂取するなら、サプリメントを使うのも選択肢の一つです。ルテインをサプリで摂取する際は、含有量や種類、他の成分などに注目しましょう。例えばルテイン配合のサプリを選ぶ際には、以下のポイントに注目です。
例えば「天然ルテイン」は、マリーゴールド由来で安全性・吸収率が高い反面、価格も高めです。大して「合成ルテイン」は石油由来で価格が安い分、吸収率が低く副作用の可能性もあります。
また、一粒のサプリでルテイン以外にも相乗効果の得られる成分が含まれていると、サプリを続けていくメリットも大きいでしょう。
「機能性表示食品」とは、国の定めたルールに基づいて事業者が食品の安全性・機能性を消費者庁に届け、認めてもらう制度のことです。
サプリメントは医薬品ではなく食品として扱われるため、本当に効果のあるサプリメントを使いたい人は、「機能性表示食品」かどうかをパッケージで確認してから購入を検討すると良いでしょう。
- 1粒当たりの含有量や、1日当たりの摂取量
- ルテインの種類（天然ルテインか、合成ルテインか）
- ルテイン以外に配合されていると理想的な成分（アントシアニン、ゼアキサンチン、DHAなど）
- 価格帯（粒の量ではなく、1度の購入で何日分続けられるか）
- 「機能性表示食品」に登録されているか否か
ルテインの効果を引き出すための生活習慣
ルテインは目の健康や脳、体全体の健康に加え、肌質悩みを改善に導く美容効果もあるなど、人の体に様々な影響を与えます。 そんなルテインですが、もちろんただ摂取し続ければ良いというものではありません。ルテインの効果を最大限に引き出したいなら、生活習慣そのものも整えていきましょう。- しっかり睡眠時間を確保する
- スマホやPCなどの液晶を見すぎない
- 紫外線対策をする
- ブルーライトカットメガネや目薬などを使用する
- 1日3食きちんと栄養に気を使った食事を心掛ける
- ストレスを溜めすぎないようにする
ルテインに副作用や注意点は？安全性に活用するためのポイント
どんな栄養成分にも、メリットがあればリスクやデメリットも存在します。ルテインの摂り過ぎによる副作用や、他の成分との悪い相互作用の有無、持病のある人や服用中の薬がある人の注意点もチェックしてください。ルテインの過剰摂取で懸念されるリスク
これまでにルテインを用いて行われてきた様々な研究結果では、1日あたり4㎎～12㎎までの摂取が、眼疾患の予防的効果が認められたとされています。12㎎までの摂取では、特筆すべき有害作用は報告されていないようです。また、実際に目の治療効果を行うためには20㎎から40㎎の服用が必要であるとの報告がありますが、これらの研究結果でも特筆すべき有害作用は認められていません。
つまり現状の様々な研究データでは、1日あたりのルテインの摂取量による有害作用は認められていないということになります。しかし実際に販売されているサプリメントなどでは1日当たりのルテイン摂取量の目安は6㎎程度と提唱されているため、目安は守った方が無難でしょう。
特に、ルテイン以外の成分を含む食材やサプリの過剰摂取は、ルテインに限らず他の成分を必要以上に摂取してしまう事になりかねないため注意してください。
人によっては健康に良いとされている成分であっても、過剰摂取することで頭痛や吐き気といった副作用、アレルギー反応などを起こす可能性があるため、かならず適量を守って摂取するようにしましょう。
ルテインの摂取量を制限すべき人
ルテインは摂取量が増えたからといって、特筆して害悪を及ぼす成分ではありません。しかし多めに摂取した後で頭痛や腹痛・吐き気などの副作用が生じた人は、ルテインの摂取量を少なめにした方が良いでしょう。 また、石油由来である合成ルテインは副作用が出やすいのが特徴であり、過剰に摂取することで皮膚の黄変や消化器系の副作用などが生じる可能性があります。サプリメントとして合成ルテインを選んだ場合、少なめの量から摂取を始めた方が良いでしょう。もし現在進行形で持病がある人や、過去に食物アレルギーを起こしたことがある人、服用中の薬がある人などは、一度医師と相談してからルテインの摂取量についてアドバイスを貰った方が良いでしょう。
薬によっては飲み合わせによっては、思わぬ副作用が生じる可能性もあります。服用中の薬やサプリメントなどとルテインの相性や安全性については、事前に医師とよく話し合っておくと万が一の事故を予防できるでしょう。
ルテインの服用そのものを禁止されるケースは少ないでしょうが、ルテインと服用中の薬・持病が相互作用を生む場合には、ルテインの摂取量を制限する提案を受けるかもしれません。
ルテインの効果証明のために行われた検証や研究のデータ
ルテインの効果を証明・研究するために、今も現在進行形で様々な検証が行われています。実際に行われた、ルテインの研究についてご紹介します。ルテインの作用で白内障リスクが軽減された研究ケース
ルテイン、もじくはゼアキサンチンの補給によって、眼球の水晶体にあるたんぱく質・脂質・DNAを「酸化的損傷」から保護したという研究データが報告されています。 ここでいう「酸化的損傷」とは、活性酸素などによる細胞レベルの酸化ダメージのことです。こうした酸化ストレス時の酸化還元状態を改善することが判明したことで、ルテインやゼアキサンチンを十分に摂取することで、水晶体を酸化ストレスから守り、老人性白内障にリスクを低減できることが示唆されました。 加齢とともに水晶体が濁り、視力が低下することを防ぐ働きが期待できると証明されたことになります。ヨーロッパでは動脈硬化や心臓発作による死亡率が低いというデータ
ルテインを含むカロテノイド系の果物や野菜を多く食べる人ほど、心臓疾患や心臓発作のリスクが低い、という疫学調査のデータがあります。 なかでもヨーロッパでは、地中海に暮らす人々の動脈硬化・心臓発作による死亡率が低いことが分かっており、地中海沿岸の食生活に多く使われている食材は、カロテノイド含有量が多いと判明しています。 中でも高レベルのルテインが発見されており、ギリシャの人々の血清中ルテイン濃度が高いこととも結びつけられています。 こうした研究データにより、ルテインを含むカロテノイドを多く摂取することが、心臓疾患による死亡率が低いことと結びつけて考えられています。これからルテインに期待されている可能性や応用性
これまでにも数々のルテインの研究や実験が行われてきましたが、現在進行形でも新たなルテインの可能性や応用性を求めて、多くの機関で研究が行われています。 従来の研究では、目の健康維持や体の様々な病気予防、肌の美容などに効果があるとされてきました。しかし今後さらに、ルテインの持つ効果や作用として新しく健康効果が提唱される可能性も考えられます。例えばとある製薬会社で行われた実験では、ルテインの作用により、糖尿病網膜症を予防する可能性が示唆されています。糖尿病網膜症とは、血糖コントロールが悪い状態が続くことによって生じる、網膜の血管障害のことです。
また、他にも「視力の回復に役立てられる」「疾病の予防に役立てられる」など、多くの観点からルテインの持つ可能性が研究されています。
ちなみにルテインの摂取方法についても、ルテインの含有量を多く含む野菜の栽培なども研究されており、ルテインを使った人の健康維持についての可能性は、まだまだ広がる余地を見せています。
ルテインの効果は眼や脳・心身の健康と美容に結び付く。サプリや食事で摂り入れよう
ルテインは人の目の健康に役立つだけではなく、脳の機能を維持したり、肌質を美しく保ったりなど、美容や健康にも役に立つことが分かりました。 ルテインは年齢を重ねると共にどんどん減っていきますから、食材やサプリメント、化粧水などを使って外部から積極的に摂り入れることが重要です。 加齢が進むにしたがって見られるようになる、白内障や加齢黄斑変性症といった目の病気や、心筋梗塞などの病気、肌のシミやしわなどの肌質トラブルは、ルテインの減少によって引き起こされます。早い内からルテインを十分に補給することで、体中に起こる様々なトラブル・症状の予防に繋げられるでしょう。ただしルテインを摂取する際には、1日の摂取量や摂取できる食材・サプリ選びに注意しましょう。食材を使うなら調理法や食材の組み合わせについて工夫し、サプリを使うならサプリの質や量について確認することが大切です。
もちろん加齢に伴う身体や見た目のトラブルだけではなく、ルテインは若いうち、子どものうちからの認知機能を高める働きもあるため、何歳からでも積極的に摂り入れておくと、全身単位での若さを保つことに繋がりますよ。